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生きる路


「任務完了…」


瞬く間に時は過ぎる。

いつしか、部下をもつ立場になっていた。
尊敬はされているが、自分自身が心を開かないので部下もそこまで心を開かない。
冷静沈着、いや、冷徹非道の女暗部と謳われたが、人並みの容姿と地位に釣られて男どもが寄ってくる。
来るもの拒まずに付き合っていたが、任務にしか興味がない自分にとっては二人の時間を優先するはずもなかった。

たまに空いた時間で身体を重ねるも、あまり感じない。濡れる事は濡れるが、十分に潤わない事が多かった。男の愛撫が下手なのか、ただの不感症なのか…様々な憶測が一人歩きしていた。
そんな状態で上手くいくはずもなく、大抵の男は自信を無くして去っていく。俗に言う振られるという部類に入るが、別に悲しくはない。
何故なら自分の人生に男なんてモノ、必要ないからだ。
そう悟る、それが25歳。そしてまた時間は過ぎ去り数年が経過、明日で29歳になる。


あれから恋人という定義の者はいなかった、そもそも今までの相手も恋人と言えたのか定かでない。そんな中、身体のみの関係の男が一人いた事はいた。
だけど自分は欲求不満等になる事もなく、さらに歳を重ねるごとに性に関して執着心がなくなってきたのが手に取るように分かった。
つまり裏を返せば、それは男の憂さ晴らしに付き合っているだけになる。
そう考えると一気に馬鹿馬鹿しくなった、私はそこまで安っぽい女ではない。縁を切る為、もう終わりにしようと告げる。

すると、男が逆上してきた。
愛想もないに等しい女の何が良いのかと問い詰めると理由は至ってシンプル、どうやら身体の相性が抜群に良いらしい。

所詮、そんなものか。
つまらない。


「おい、名無しさん!!怪我をしたくなけりゃ大人しく今まで通りに抱かせろ!」
「…あんた、私を誰だと思ってんの?女だからって舐めてるのか知らないけど、目の前にいるのはただの女じゃないって事…」
「あぁ?」


押し倒され馬乗りをされた、これで脅しているつもりなのか。
そんな男を鼻で笑い、瞬時にクナイを首元に突きつける。


「教えてあげる」
「ひっ!?た、助けて…!」


射殺すような目線と、冷たい忍具の感触にガタガタとなり腰を抜かす軟弱者。

こんな奴と身体を重ねてたと思うと、虫唾が走った。でもそれは流れに身を任せていた自分が悪いので仕方ない。


「だったら、さっさと…失せろ!!」


情けない悲鳴を上げ立ち去る男。

完全に視界から消えたのを確認し、はぁ、と深い溜め息一つ。
頭を掻き、今までの行動を振り返る。
無駄な時間を過ごした、やはり自分は任務にだけ集中してればいい。

任務一筋で誰にも頼ることなく生き、女でありながらの小隊の部隊隊長まで務めるまでになったのだ。任務の為に生きて、その身を尽くす。

それが私の生きる路。





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