01
「んー…」
深い眠りの世界から意識が覚醒されていく。
寝返りを打つと、鈍い痛みが襲った。
それで完全に覚醒され、目覚める。
痛みの原因は腕の切り傷だ。
「…あー…あの時の傷か」
それはきっと、ここに来る前に出来た傷。
よくよく見れば今の自分の格好は、土や泥で汚れ小さな傷口が多数あった。
「…起きたか」
「…ボクらを、どうする気ですか」
「あ、ごめんごめん、影分身解くの忘れてた」
そういえば二人を拘束したまま眠りに落ちていた、任務中なのに可哀想な事をしてしまった。
ぼふんっと煙が立ち消える分身。
すぐさま距離を取り、戦闘体勢になる少年二人。が、何もしてこない。
実力の差がハッキリと分かったからだろう。
警戒し、様子を見ている。
「…お前、木ノ葉の忍と言ったな。名は」
「名…うーん、言ってもいいのかな」
「…名乗れない理由でもあるんですか」
なんせここは過去。
それに私は極力、人と関わっていない。下手に名前を教えて未来に影響が出ては困る。
うん、やっぱり言うのはダメだ。
その変わり、重要な事を教えるとしよう。
「そ、君のいう通り名乗れない。何故なら私は未来から来たから」
「み、未来…?」
「バカにしてるのかっ…!」
「歳上に対してその言い方はいけないなぁ…」
「忍に年齢なんて関係ない。実力の世界だ」
ポリポリと頬をかき、ゆっくりと近づく。
途端に走る緊張感に、二人はクナイをや刀を構える。その様子に苦笑。
未来から来たなんて、そんなぶっ飛んだ話すぐさま受け入れるわけがないだろう。
自分だって、まだ半信半疑だ。だけど私の知っているカカシとテンゾウ改めヤマトはもう少し年齢が上で、暗部を抜け表部隊として動いていたはず。
彼らが縮んだり、時代を越えて来たという事も考えにくい。だとすれば、私が時代を遡ったという事しか考えられない。
そして、要因は…
「アイツか…」
「アイツ…?」
「…ん、こっちの話。とりあえず…昨日も言ったけど敵ではないから」
まずは、この二人の誤解を解く事が先決。
「…証拠は」
「はいはい、敵意ない所見せますよーっと」
「どうやっ…って!?」
「わっ、あ、貴女…!」
「ん?色の訓練は受けてるでしょー?」
やはり子供。
いや、ウブな少年達と言うべきか。
私は黒の装束を脱ぎ捨てた。
現れるのは、サラシを巻いた上半身と黒のショーツ。そのままサラシに手を掛け、スルスルとほどいていく。
敵意がないと示すにはこれが手っ取り早い。
人間、生まれたまんまの姿が一番無抵抗。
動揺しつつも、目を離さない二人。
少しだけ、男の目になっているようにも感じた。
「これでも、信じてくれない?」
長いサラシがほどかれると、細い身体に似合わない大きさの胸が其所にあった。
さて、二人はどう出るのか…
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