お昼の校内放送1


「皆さんこんにちは、お昼の放送でーす!今日もオレこと2年A組の淫魔くんがお届けしまーす」

いいながらエコーボタンに手を掛ける。
お昼の放送はオレ1人で回してるからね。
スタッフとかいないのよ。

「さてさて、本日のお題はー?『アナタの隠れた性癖、教えて?』」

タイトルはエコーを付けて、極力色っぽい声で。
スピーカーの前の猫又ちゃんたち妊娠しちゃったかもね。ふふふ。

「オレはねー、隠してる訳じゃ無いんだけど、淫魔って夢魔とも言うくらいだから、寝てる子を襲ってセックス、ってイメージあるでしょ?残念!意識のある子とガッツリやる派です!」

まぁ相手の子達が途中で失神しちゃう事はあるけどね!
オレってば淫魔だけあって性欲ハンパないから。

「そもそも夢に出る淫魔ってのは、自分に自信が無い奴なんだよねー。だから夢の中で相手の好みに合わせるわけ。その点オレは元がイケメンだからね。合わせる必要ないからね。異論は認めなーい。ん?もしかしてこれ性癖とは関係ない?ま、多少話ズレても大丈夫だから、皆さんどしどしメールして下さいねー」

マイク横のパソコンを見れば、さっそくメールがちらほら。
エロネタは食いつきいいね。

「そしてそしてー、今日のゲストはこちら!」
「えっと、匿名希望でーす」
「そうなの、匿名希望なんだって。クラスもだめ?」
「やだよ。テーマがテーマだし」
「うーんそっかぁ残念」

毎回、生徒の中から選ばれるゲスト。いやオレが選んでるんだけど。
今回は2年B組の人間くん。
クラスは違うけど、実は寮で同じ部屋なんだよねー。
その縁でゲストに来てもらいました。

「でも匿名希望くんじゃ長いから平凡くんでいい?」
「……うん、まぁ否定はしませんけども」

多少不本意な雰囲気の平凡くん。
でもどう見ても平凡くんだしねぇ。見た目が。

「じゃあ平凡くんも交えて、さっそくメールをご紹介しまょう。まずは最高権力者さんから頂きました」
「すごい名前だな…」
「『淫魔くん平凡くんこんにちは』。はいこんにちはー」
「こんにちはー」

オレがメールを読み進めると、合いの手を入れてくる平凡くん。
むむ、割と順応性が高いなー。

「『私は某数学教師を放課後アンアン言わせています』。あれ?これ隠れた性癖じゃなくて隠してた関係じゃない?」
「てか某になってないだろ…うち数学教師1人だぞ…」

うん。オレ達も聴いてる人達も、みんな頭には細目でつり目で生意気そうな某数学教師を思い浮かべている事だろうとも。

「『しかも毎回、体育館倉庫や職員室の机の下、昇降口の隣のトイレなどなど、誰かしらに見つかりそうな際どい場所でガン堀りしています。その方が某キツネ先生が興奮するからです』。あれ?これ最高権力者さんじゃなくて九尾先生の隠れた性癖?」
「バカ、某キツネ先生って言ってやれよ可哀想だろ!」

やばいウッカリ。
いやでも皆分かってるもんね?

「『興奮して私のペニスをギュウギュウに締め付けながら、陥落すまいと必死に睨みつけてくるキツネ先生にたまらなく興奮します』。あぁ、反抗的な態度に興奮するのが最高権力者さんの隠れた性癖って事かな?」
「ウワァ…たったそれだけの情報のために某キツネ先生が犠牲に…」
「『この放送を聴いたキツネ先生の今夜の反応が楽しみです。あとキツネ先生に手を出そうなんて馬鹿は私の権限で即刻退学処分ですのでお気をつけくださいね』。という事ですが、これさぁ、ラジオネームと言いさぁ、ウチの理事ちょ」
「言うな!何のためのラジオネームだと思ってんだ!」
「だからそのラジオネームが最高権力者…」
「ほら!他のメール!他にも来てんだろ?!某キツネ先生の為にもさっさと次に行ってやれよマジで!」

という平凡くんの熱いご要望もありまして、良さそうなメールをポチポチ。

「では次のメールです。種付け交尾さんから頂きました」
「また凄い名前だな…」
「『私は某タヌキを屋上や校舎裏、通学の際の路地裏などで毎日犯しています』。青姦が好きって事かな?」
「てか某タヌキって…うちタヌキ1人しかいねーだろ…可哀想だから特定してやるなよ…」

化け狸くんは確か平の風紀委員だったはず。
風紀委員自ら乱しちゃってるのか。いいと思うよ。
でも素朴な雰囲気でそういうタイプには見えなかったけど。
まぁ人は見た目によらないからねぇ。ふふふ。

「『化け狸は外でヤるのを特に嫌がるのでとても楽しいです』。あ、違ったこの人ただのドSだった」
「てかもう化け狸って言ってんじゃねーか…あんたがドSとかどうでもいいよ止めてやれよ…」
「『たかが平の分際でオレに楯突く馬鹿を身体で躾る圧倒的快楽。恐らく今日もこの放送を聴いたら即風紀室に殴り込んでくる事でしょう。軽く手をひねって四つん這いにして犬のように種付け交尾したいと思います』。との事です。えーっと、これはつまり風紀委員長自ら風紀乱しちゃってるって事でオケ?」
「あの人がドSとかそもそも周知の事実じゃねーか!」

そんなどうでもいい情報の為に化け狸が犠牲に…!って、平凡くんも化け狸って言っちゃってるじゃん。

「まぁまぁ。じゃあ次のメール行きますか。お名前は匿名さん。平凡くんと同じだねぇ。んーと、『理事長ふざけんなシネ』…だそうです」
「……うん」
「ちなみにメールアドレスにkyu-biって入ってる」
「あの人変な所で抜けてるよな…」

平凡くんがどこか遠い目をしたその時、机に置いてたオレのスマホが震えだした。
おやおや?
この時間は放送だってみんな知ってるだろうに、と画面を覗いたら『風紀委員長』の文字。

「…………」
「…………」
「すみませーん、電話かかって来ちゃったんでー、出ますね」
「出るのかよ!」

平凡くんをよそに机の上でスピーカーオン。

『ぁ、ふっ、やっ、やめ、ひはっひぃぃん…ッ』

したとたんに響く嬌声。
あ、平凡くんスマホ見たまま固まってる。
ナマの音声は刺激が強すぎたかなぁ?
平凡くん童貞っぽいし。

『あーん?もうちょい声抑えろよ、聞かれてーの?んん?』
『ぁっぁっぁっぁ…ッぉっくぅぅぅ…ッ』

パチュッパチュッと僅かにピストンの音まで聞こえてくる。
お楽しみのとこ悪いけど、話は進めなきゃね。

「もしもーし、どちら様ですかー?」
『おう、オレだオレ』
「……えーと、種付け交尾さんですかー?」
『うんそれ』

ヘラヘラ笑ってるのが目に浮かぶなぁ。
しかも話しながらも腰を打ち付けてるみたいで、化け狸くんの食いしばってるであろう口から漏れる嬌声が止まらない。

『ンッンッンッンッ』
『そーそー、頑張ってんな。イイ子にはご褒美、な…ッ』
『んはぁ…ッ!それっだめっ、てぇぇぇ…ッ』
「おーい、もしもーし」

話進まないぞー。
とはいえ今日は満月だっけ。まだ昼間だけど。
狼男の性欲ハンパないから大変そーね。オレも人の事言えないけどね。

『おー悪い悪い。さっきのメールな、ちょっと釘さし忘れたもんだからよ』
『ひぁッんっんっんんーッ!ンッ、ンッ、んひぃっぁっぁっぁっぁっしょこ、ひっぁんっぁんっあぁぁン…ッ』
「んー?釘ですか?」
『そうそう。まさかいないとは思うけどよ、オレのモンに手を出そうなんて馬鹿には、よっ、フッハッ、ハッ』 
『ひんッ!ァンッつぉ、つぉしゅぎッぁっはっゃんっぁっ種付けっらめぇぇ…ッ!』
『…ハッ、あー…、死んだ方がマシだと思う目に遭わすから、じゃあな』
『ぁんっぁ』

プツッとそこで通話が途切れた。

「…という事で、種付け交尾さんでした。電話出演ありがとうございましたー。」
「…某タヌキまじ不憫…」

石化が溶けた平凡くんはすでに通常運転でした。
うーん、もうちょっと楽しい反応するかと思ったんだけど…ほんと人前では性欲の欠片も見せないなぁ。

「さてさて、早いものでそろそろ終了のお時間ですね」
「もうそんな時間か。あ、やばい授業始まるじゃん」
「楽しい時間はほんと過ぎるの早いよねー。じゃあまた明日も、淫魔くんと平凡くんでお送りします!」
「は?オレも?」
「うん!明日はのっけから飛ばすよー!まったねー!」


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