魔女っ子(♂)ピーチ


「かっ会計さま…ダメですこんな所で…、ぁ…っ」
「えーいいじゃんちょっとだけ、ね?気持ちよくしてあげるよぉ?」

ここは人里離れた全寮制男子校、の裏庭だ。
そんな公の場で、嫌がる相手に淫行を強要しているのは生徒会のチャラ男会計。
彼のイケてる顔は校内で大変な人気があり、なんと親衛隊などという物まで存在する。
しかし、校内で淫行など、全校生徒が許してもこのマジカルピーチが許さない。

「そこまでよ!」

オレは二人の前に颯爽と飛び出した。
その反動でツインテールと短いスカートが跳ね上がり、恐らくパンチラどころかパンモロをしただろうがマジカルピーチは男なので気にしない。
いや待て。あまりのパンモロだとマジカルピーチに息子があることがバレてしまうかも知れない。
それはいけない。
しかし一瞬でそこまで判断はつかないないだろう。

マジカルピーチはニーハイブーツの足を肩幅に、二の腕まである手袋をした左手を腰に、そして右手でズビシとチャラ男会計を指差した。

「正義の魔女っ子マジカルピーチ参上!」

正義の魔女っ子マジカルピーチの登場に目を見開くチャラ男とチワワ。

「わー生ピーチちゃん初めて見たぁ」
「ほ、本当に女装してる…」

女装だと?
しまった息子を見られたか?

「女装じゃないわ!わたしは可憐な女の子よ!」
「そんな低い声で一本調子に叫ばれてもねぇ」

しまった声の問題だったか。
それはどうしようもないな。誤魔化そう。

「今日は喉の調子がおかしいのよ!だから男みたいな声なんだわ!」
「声はともかく、魔女っ子のセリフが棒読みはどうなのぉ?それに女の子っていうには無理のある体つきだしぃ」
「170の女の子だって割といるわよ!筋肉だってどうせほどほどよ!」
「いやいや、体のラインがさぁ、男と女じゃ違うじゃん?」

言われてみれば確かにそうかもしれない。
なんてことだ。せっかく正体を隠すために女の子を装っているのに、バレたらただの変態だ。
でも正体がバレなければ変態と思われても別にいいのか?いいのか。

「とにかく、嫌がる相手に無理やり性行を強要するなんてこの魔女っ子ピーチが許さない!」
「別に嫌がってなかったじゃーん。ねぇ?」
「えっ、それはもちろん…。きゃっ恥ずかしいっ」

チャラ男に腰を抱かれ、真っ赤な顔で恥じらうチワワ。

「ね?あれは嫌がってたんじゃなくってー、ただの言葉遊び?もはや前戯?あーいうやり取りで気分を盛り上げてたんだよぉ。相変わらずその辺の空気読めないよねぇ」
「なん、だと…!」

ニヤニヤするチャラ男会計。
その腕に白い腕を絡ませるチワワ。
なんと無理やりと思ったのはオレの勘違いだったらしい。

「それでも!公共の場で淫行なんてこの魔女っ子ピーチが許さない!」

再びズビシとチャラ男会計を指差したマジカルピーチは、そのお綺麗な顔に向かって跳び蹴りを

「魔女っ子キーックぁ…っ!」
「んむっ」

跳び蹴りをお見舞いしたら、目測を誤って足が顔の横を素通りし、お尻がチャラ男の顔面に直撃した。
そしてバランスを崩したチャラ男とマジカルピーチはそのまま倒れ、

「がっ、顔面騎乗位だなんて…っ!」

跳び蹴りに驚いて飛び退いていたチワワが、現状を報告してくれた。

「わ、悪い!いま退くんん…っ?!」

その報告に、すぐさま離れようとしたマジカルピーチの脚を羽交い締めするチャラ男会計。

「んふ、ピーチちゃんのパンティーやらしすぎぃ」

そしてマジカルピーチの尻穴あたりをパンティー越しに舐めまわしている。

「馬鹿者!やめゃめぁぁんんん…っ」
「むちゅ、はむはむレロロ、んふ、口調がオトコノコだよぉピーチちゃん」
「あふぁ、みっ、見てなさい!ハレンチはこの魔女っ子ピーチが許さな、ぁ…っ!」

チャラ男会計の腕から逃れるべく、勢いよく立ち上がったマジカルピーチは、その勢いのまま足を滑らせ尻餅をつき、

「こっ、今度はおちんちんの上に騎乗位だなんて…っ!」

チワワが後ずさりながら現状を報告してくれた。

「んふ、ピーチちゃんてばハレンチぃー。ほらズンズンしちゃうよぉ」
「ぁ、ゃあ、こ、公共の場で突き上げるなんて、このマジカルピーチが許さな、んぅっ?!」

再び立ち上がろうとしたマジカルピーチは、再び足を滑らせ、しかも今度は後ろに足を滑らせ、勢い余ったマジカルピーチは前へと倒れ込み、

「そんな…っ、憧れの会計さまと変態女装男がキッスだなんてぇ…っ!」

わりかし純情だったらしい悲劇のチワワが泣き去りながら現状を報告してくれた。
あんなに純情なチワワだ。
やはりこのチャラ男に言いくるめられていたに違いない。
さすがマジカルピーチ。今回もいい仕事をした。

さて次回、正義の魔女っ子マジカルピーチ『ハレンチはディナーの後で』
お楽しみに。

「ん、ヂュポ、なぁに勝手に終わらそうとしてるのぉ?ぁは、ピーチちゃんの舌、ヂュルッチュポチュポやば甘、はっ、レロチュポヂュルルッ」
「んんぅ、んふぅ…んっんっハレンチはっ許さないんだからぁ!」

とどまる事を知らないネチっこいベロちゅーを引き剥がそうとチャラ男の顔を引き剥がせば、薬指がチャラ男の口に入ってしまった。

「んふ、おひゃぶりひてほひーの?」
「はっ?ぁ…」

すると手袋越しのそれをいやらしく舐めしゃぶり抜き差しし甘噛みするチャラ男会計。
マジカルピーチは慌ててそれを引き抜いて、チャラ男会計の上から退いて決めゼリフと共にその場を後に

「いい?今度またハレンチしたら、このマジカルピーチが許さないんだからねぁっ?!」

しようとした所、勢い余って躓いたマジカルピーチはビタンと地面に顔面強打し

「あは、そんなにお尻突き出しちゃって、ピーチちゃんまじハレンチぃー」

チャラ男会計に向かって舐められた濡れ濡れパンティーを突き出していたらしい。

「くそっ覚えてなさい!」
「それ悪役のセリフだよぉ」

ヘラヘラ笑うチャラ男会計を背にマジカルピーチは今度こそその場を後にした。

オレは正義の魔女っ子マジカルピーチ。
またの名を、

「驚異のドジっ子マジカルピーチ」
「不名誉極まりない」
「何か言ったぁ?」
「何も」

オレは正義の魔女っ子マジカルピーチ、という裏の顔を持つ、平凡なクラス委員長、桃井敏郎。

オレが委員長を勤めるSクラスはくせ者が多い。
昨日マジカルピーチの姿で一悶着していたチャラ男会計もその一人。

「でね、きのう驚異のドジっ子マジカルピーチちゃんに初めて会っちゃってぇ」
「そうか」
「話には聞いてたけど、思った以上のドジっ子でねぇ」
「…そうか」

チャラ男会計がオレを見ながらやたらニヤニヤニヤニヤしている。
不名誉極まりないが、ここで抗議しては変に思われるだろう。
今のオレは正義の魔女っ子マジカルピーチではない。
クラス委員長桃井敏郎なのだから。

「そのドジっぷりがもーね、委員長といい勝負なの。ぁは、凄くなーい?」
「オレはドジじゃなぶっ」

チャラ男会計への抗議に力が入り、握っていた飲むヨーグルトのストローから中身が吹き出てしまった。

「………………」
「んふ、いっぱい出たねぇ」
「お前のせいだ」
「オレは委員長のせいで昨日から出しまくりだけどぉ?」

睨めば怪しく上唇を舐めるチャラ男会計。
なんの話だ。

「ドジ郎、朝からなに顔射してんだ」

教室へと入ってきた我がクラスの担任、別名ホスト教師は、オレを覗き込んだかと思うと顔についたヨーグルトを舐めとった。

「あー、せんせーオレの精液舐めないでよぉ」

チャラ男会計のヤジでようやく顔射の意味に思い当たった。
ここはきちんと正さなければ。

「ちがうこれはヨーグルトだ」
「うんみんな知ってる」

今日も長い1日が始まる。

「おーし、じゃあお前ら、今日も1日ドジ郎をフォローしてやれよ」
「不名誉極まりない」


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