昼休み。
晴れているので、屋上で昼食をとるみすずと省吾。
やがて弁当を食べ終えると、省吾は飴の入った袋からそれを一つ取り、中身を出して口の中に放り投げた。
口に広がるイチゴミルクの味に、省吾は顔が緩む。

「ねえ、それちょうだいよ」

省吾が顔を緩めて呆けていると、それを現実に戻すみすずの声がするので、彼女の方を向いた。

「…みすず、今ダイエットしてるんじゃないの?」

「いいじゃない、飴一つくらい」

省吾が冷めた目で彼女を見ながらつっこむと、みすずは言い返してくる。仕方ないなと省吾は左手に持っている飴の入った袋を、彼女の前に差し出した。

「はい」

「ふふん、そうやっておとなしくゆう事を聞けばいいのよ」

やけに勝ち誇った顔でそう言いながら、飴の袋の中に手を入れるみすず。
省吾は「ゆう事」じゃなくて「言う事」なんだけどなと思いながらも、口には出さない。騒がれるのも面倒臭い。

みすずは袋から取り出した飴の包み紙を開いて、中身を口に入れた。
彼女はやたらと省吾から物を貰いたがる。特に食べ物、お菓子系が多い。確かに省吾は昼休みにお菓子を食べる事が多いのだが、ハイエナのようにそれを狙うみすずもどうだろうか。

省吾は自分で買えばいいのにと思い、また直接口にする事もあるのだが、何故かみすずはいつも持ち金がピンチだ。すぐに散財したがる彼女の癖もどうかと思うが、それは言った所で直りそうもないので諦めている。


「この飴甘くない??」

省吾が再びぼんやりしながら考え事をしていると、彼女の声が飛んできた。

「甘すぎるわよ〜、これ。ほんとにあんたの口は子供っぽいんだから」


それじゃあ食べなきゃいいのにと省吾は思ったが口には出さない。騒がれるのも面倒臭いからだ。


End

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珍しく(?)糖度が高くないというか、省吾が冷めているというか、書いててそんな話になりました。



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