「明日は絶対晴れよ!」


流れ星


放課後、帰宅途中にみすずは突然そう言い出した。
隣で一緒に歩いていた省吾は、一瞬だけ動きを止めたが、すぐに何事もなかったように歩き出した。

「ちょ、ちょっと! 何でシカトするのよ!」

みすずのやたらと元気ある発言を無視してすたすたと歩いていく省吾。当然みすずは彼に文句を言う。
すると省吾は再び足を止めた。

「…いや、別に興味ないしね」

そして、彼女の方を向いてそう言うと、みすずは信じられないといった表情をおおげさなまでに見せる。

「な、何ですってぇ〜〜〜!?」

そして、肩を怒らせながら叫ぶが、省吾は動じない。

「どうせ勘だろ、当たらないよ」

省吾は冷めた顔をしてそう言い放つ。

「当たるわよ!」

しかしみすずも負けじと言い返した。
そもそも省吾がそんな態度なのは、彼女のそういった「直感」とでもいうのだろうか? それが全く当たった試しがないからだ。少なくとも、省吾の知る限りではそうだ。
そして今、彼女は新たに閃いた「明日は晴れる」という予報を、突然道端で発した結果がこれなのだ。
だが、当たらない直感など聞いても面白くない、しかもそれを毎回聞かされる身の省吾は、正直うんざりしていた。

「分かったから、帰ろう」

省吾は嫌味の如く優しくみすずにそう声を掛け、そして再び歩きだす。

「ムキー!! 何よその態度は!! こら待ちなさい!」

置いてけぼりをくらったみすずは、腹立ちながらも慌てて省吾の後を追った。

「あんたね! あ!明日! 覚えてなさいよ。ギャフンと言わせてやるんだから!!」

「はいはい」

相変わらず怒り心頭のみすずは、ギャアギャアと省吾に何かを叫んでいるが、一方の省吾は至って冷静にそれを返す。





−−そして翌日−−



誰かの予報とは逆に、どんよりと黒い雨雲が空を覆い、昼過ぎから雨が降り始める。特に放課後くらいになると、雨足が酷くなり傘がないとずぶ濡れになる勢いだった。



「ほら」

校舎の正面玄関で、空を見上げながら省吾はぽつりと呟く。
一方、みすずは涙目で地面へと一直線に降り注ぐ雨を睨んだ。

「うう……」

余程悔しかったのか、唇もわなわなと震えている。
いつものことなのになあと省吾は思いながら、そんな彼女を気の毒そうに見つめた。

「だから当たらないって」

しかし、口から出た言葉は意外と冷めたもので、省吾は持ってきた傘を開いた。

「そ、そんなこと…ないわ………ってあんた! 何で傘持ってきてんのよ!?」

「だって『今日は絶対晴れる』んだろ? そういう事」

「どういう意味よ!!」

うんざりはしてるけど、彼女の当たらない直感を逆に上手く利用している、割としたたかな省吾だった。


End


【おまけ】

「ほら入んなよ、傘持ってきてないんだろ?」

「う……、省吾のバカ…。ちゃんと濡れないように家まで送るのよ」

「はいはい(始めからそのつもりだよ)」

勘が見事に外れて悔しいけど、省吾の優しさに素直に甘えるみすずでした。


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みすずさんの勘は全く当たらないとの事(省吾談)らしいが、逆にそういうの利用してそう(笑)。





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