これはとある日とある山に迷い込んだとあるモモンガの話である。

「…マジすか。この山マジ豊作つーか楽園パねぇんすけど」
「やってるか新入り」
「センパイ、ちぃーす!」
「なんだ、もうすっかりモフってんな。こないだまでガリッガリだったのによ」
「それもう言わないでくださいよ〜。確かにマジ餓死寸だったっすけど、この山来てもう復活したんで」
「まあな、この山に入れたってこたぁ、おまえも選ばれたってことだしな」
「なんすか、選ばれたって、ガイアにっすか。ガイアが俺の毛皮にもっと輝かけと言ってんすか」
「ガイアっつうか神だな。ちょうどいい、今日はこの山の神についてレクチャーしてやるからついてこい」
「マジすかー」


「まずこの山で生きていくために一番に気ぃつけんのは、神だ。この山にいる神にはまず近付くなよ。神マジやべーから」
「神ってあれすか。あの人間の家に住んでる神っすか」
「そうだ。神が家から出てくる時間はだいたい決まってっから。そん時うかつにあの辺飛んでんなよ」
「いやいやいや近づけねっすよ。あのあたりのプレッシャーマジぱねぇんで。ヤベェって俺の野生が囁いてんすよ。てか神がいるなら納得っすわ。神マジぱねぇー」
「それとあそこにゃ金色のフクロウもいるんだが、あれも神の使いだからな。光ったのが飛んできたらマジ逃げろ。捕まるとふろしきにされっから。もう何匹もムササビが犠牲になってっから」
「マジすか、モモンガもヤベェっすか」
「あれはムササビもモモンガも関係ねぇ。とにかく気ィつけろ」
「マージーすーかー。てかあの金色くらいなら俺イケると思ってたんすけど。後ろからこうきてこう!そんでこう!で、どっすか?」
「ちょ、おま、そう言って何匹が神の使いに拉致られたと思ってんだ!あいつはマジで俺らなんてエコバックぐらいにしか思ってねぇぞ?あんまナマ言ってっとイガグリ包まされっぞ」
「ヤベー神の使いもマジぱねぇー」



「…てことでこの山では神と神の使いにだけは近付くな。それさえわきまえときゃこの山は楽園だからな。好きに生きて子作りしろよ」
「神と神の使い要注意ラジャーっす。…あっセンパイ」
「なんだ」
「あれっす。あの黒いのなんすか」
「ああ、神の家んとこにいるあの黒いのな」
「なんつうかあれ、マジヤベェっすよ。よく分かんねぇけど引き寄せられるっていうかぁ」
「あれは神の…コレだ」
「センパイちっこい小指立てられても見えねっすよ。ってマジすか。コレっすか。あれメスだったんすか」
「てめぇの小指もちいせぇからなコラ。そうだ、神のコレだ」
「そっすかー。神のコレだからあんな匂いするんすね。俺昨日意識もってかれたんすよぉ。気が付いたらダイブして俺の自慢の毛皮でフクロにしてたっす」
「マジか。この山に来たそうそう黒いのキメてくるとはヤルじゃねぇか」
「すぐになんかヤバイ気配感じたんでバックれてきたんすけどね。今思うとあれが神だったんすかねぇ」
「そうかもしねぇが、神の使いだとヤバかったぞ。速攻ふろしきだからな」
「マジヤベェー」


「黒いのをキメんのはいいが、あまりハマり過ぎるなよ。クセになったらやめらんねぇぞ」
「気ぃつけるっす。あれマジヤベェっすわ。あんな意識トンじゃったら野生失格っすわ」
「猫にまたたび状態だからな。ほどほどに楽しめ」
「うぃっす。あーでも今は平気っす。この前はこの距離でもう飛んでたんすけど…」
「神と交尾した後なんじゃねぇか?」
「なるほど納得っす。マーキングぱねぇー」
「ちっ、今日はもうキメらんねぇな。いくぞ」
「あ、待ってくださいよセンパーイ」
「バカ、すぐに神があの黒いの迎えにくんだよ。この山で生きていきたかったら、神と神の使いだけは敵に回さないよう黒いのにいくタイミングは見誤るなよ」
「センパイもアレやってんすか?」
「週一でキメてんぜ。嫁にはもう少し控えろって言われてるけどな」
「マジすかカッケー、センパイマジリスペクトっす」



「ここまで来れば大丈夫か」
「センパイ今日はあざっした」
「おー、おまえもあんまフラフラしてねぇでしっかりやれよ」
「分かってますって。俺もすぐかわいいメス捕まえてセンパイに紹介するんで。そしたらまた俺のガキにも色々教えてやってくださいよ」
「何言ってんだ。今度はおまえが教えんだよ」
「あ、そっか。そーっすよね。俺が教えてやんなきゃっすよね。神ヤベェってこととか、黒いのキメるコツとか」
「もうおまえもこの山の一員になったんだ。次に伝えてやんな」
「マジシビー。俺この山来てマジよかったっすわー」



「へっくし!」
「どうしたの風邪?…はないかシズちゃんだし。でも俺もなんかさっきから寒気が…」


それはとある日とある山のモブモモンガでなされた話だったりなかったり。


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