vol.12

シズちゃんに連れられて山頂にピクニックに来ている。
シズちゃんの持つ荷物が異様に多いけど、きっと凝った料理とかがいっぱい入ってるんだろう。
そう思ってた。
思ってたんだけど、シズちゃんがおもむろに取り出した物を見て考えを改めた。
何だ、これ。

「臨也、ちょっと写真撮ってくれ。」

手渡されたのは一眼レフカメラ。シズちゃんの手には『あの日』に使ったギャルソンの衣装。

「えっ?何?何なの、シズちゃん。」
「幽が…送った衣装を着た写真が欲しいって言ってきてな。」

そういってシズちゃんはバッとツナギを脱ぎ出した。ここで着替えるの?

「なんか、家から離れた外でお前にカメラ渡して撮って貰えって言われてな。」
「………ふーん。」

隠し撮り、データのバックアップ禁止ってとこかな。ちっ…腹黒め…
実際ポケットに入ってる携帯でなら撮れなくもないけど、クオリティの差が悔しい。
何と引き換えに焼き増ししてくれるんだろう、なんて考えてしまう。

そういってる間にシズちゃんはギャルソンの衣装を着込んでいた。
何か簡単に着れるような仕様になってるの?着方が何か変だったけど。

「おし。んじゃ、1枚頼む。」
「…はーい。」

それから、ポーズも何もへったくれも無い青空撮影会が始まった。
ギャルソンの次はカウボーイ、ナチスの軍服、俺としては色々と思い出してしまって直視できない。
これで終わりかと思ったらナチスなシズちゃんが服を脱ぎながら次の衣装を取り出した。

「あれ?その服は?前来てなかったよね?」
「あぁ、幽の奴…いっぱい送ってきてな。その中から選んだんだ。」

何をとか、何にとは言わないで。お互い顔がちょっと赤いのも触れないで。
本当に思い出すとヤバいんだってば。

「で?それも着るの?」
「あぁ、一応送ってくれたのは全部写真撮れって言われてな。」



そして俺は今あの日体験した幽体離脱を再度味わっている。
無駄に格好良いんだよ!変な格好でもそつなく着こなすって何のスキルだよ!
あぁ、見惚れるよね!流石俺のシズちゃんだよね!!!


戦国武将の陣羽織をはためかすシズちゃん

暴走族の特攻隊長(背中には池袋最強の血文字)なシズちゃん

白衣&眼鏡&聴診器なシズちゃん

陰陽師的な和装のシズちゃん

迷彩服なシズちゃん

あと、何かよく判らない衣装も沢山あった。

*衣装の加工をした時に狩沢さんが加えたモノ
トライガンのバッシュ
とあ魔の土御門
Zガンダムのクワトロ
クェイサーのユーリ
咎狗の血のグンジ
etc…
(ゴメン、あまり詳しくないの;/SHO)


そしてこれが最後だと、今…俺の目の前には…。

「あ〜やっとコレで終わりだ…流石に疲れるな…。」

今にも池田屋に御用改めに乗り込みそうな新選組の鬼の副長が居た。
いや、土方は池田屋には乗り込んでないけど。


カシャ……ジーーー


浅葱色に白抜きのダンダラがなびく写真を撮ったところでフィルムを巻きつける音がした。

1枚1枚、ポーズも何もへったくれもなく突っ立てるだけのシズちゃんだけど。
カメラを構えた俺にちょっと照れたような笑顔を向けるんだ。
「…反則だから、それ。」

巻き終わったフィルムを取り出して握り締める。
あの笑顔が他人の手に渡るのが物凄く腹立たしい。

でも…

「臨也、サンキュな。」

俺の目の前には本物が居るんだし。

あの笑顔だって、たぶん…いつだって見せてくれるハズだし。

そして何よりあの夜みたいにこの衣装を使って色々シてくれるハズ。


握っていたフィルムを衣装が入ってる袋に投げ入れて、新選組の衣装から普段のツナギに着替えようとしているシズちゃんに飛びついた。



まずは…この副長に『士道に反するようなイケナイ事』をして貰おうかな♪

カメラマンをしてやった報酬にしては安いもんだよね?



戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -