オマケ


柄じゃねぇ事は重々承知してんだが、俺は可愛いものが好きだ。
うちで飼っている奴らは家族同然に可愛がっている。
森に住む野生動物達も遠巻きに見る事ができただけで嬉しくなる。

だが、困った事に俺はこの家の主だ。
臨也が言うにはちゃんとしたペットというのは家主に絶対服従で、デレデレと甘えたりはしないらしい。俺が見た事のある尻尾を振って擦り寄ったり顔を舐めまくってジャレつくのは、同列に扱われているって事で縦社会を重んじるこいつらにとって良くないらしい。
なるほど、俺らの家には犬や猫が放し飼いになっているが俺に対して尻尾を振って寄って来た事は一度も無い。呼べば速攻で駆け寄ってきて整列するんだが、擦り寄るとかそういった行動はされた事がないように思う。
「シズちゃんはちゃんとボスって認められてるんだね。」っと臨也が言っていた。
家主として威厳を保ってないと集団生活のバランスが崩れるとか何とか言ってたから…こいつらの為にもジャレ合いたいと思うのは我慢するべきなんだろう。


だが何故だろう…腑に落ちねぇ…。





俺は動物になんて興味ない。
想像も付くだろうし、もう知ってるだろうけど。
うちの家畜なんか全部売り払えば良いと思ってるし、1円の価値もないペット類なんかは元居た場所に戻してこいと言いたいっていうか何度も言った。飼ってるだけなんて金が無駄なだけで何の得にもならないよ。癒し?何それ誰があんなので癒されるんだよ?

でも、困った事に俺はモフられる。
隙あらば張り付いてしがみ付いて絡み付いてくる。こっちの制止なんて聞きやしない、むしろその制する手に絡み付いてくる。服の中に潜り込もうとするし、服を自分の巣に持ち帰ろうとされた事も数え切れない。森でも同じで頭上から襲ってくる奴らが増える分とても厄介だ。
「意外だけど君って動物に好かれてるんだね。」っと新羅が言っていた。
オイ、どこをどう見たらそうなるんだ。こいつらは俺を好きなわけでも懐いてるわけでもないよ。
ただ俺の何かに執着してるだけだ。だって俺が何を言ってもコイツらは聞きやしないんだ。人間の命令を嬉々として聞いて働く犬でさえも、俺の待て・おすわり・ハウスの言葉をガン無視だ。
シズちゃんバリアがないと普通の生活ができないってのがここの唯一のマイナス点だよね。


だからかな…イラッとしちゃうのは…。






「あはははは、判ったって!撫でてやるから顔を舐るなって!擽ってぇよ!」
「ん?お前もか?おーし、おぉ…綺麗な毛並みしてんなぁ!」
「おっ!遊んで欲しいのか?コレを投げれば良いんだな?よーし、取ってこーい!」


「静雄ー悪ぃ、ちょっと馬走らせてきて良いかぁ?さっきから擦り寄ってきてよぉ!」
「……あぁ…。」
「サンキュー!よーし、許可貰ったから行くか!ゆっくりだぞ?まだ足が完全じゃないからな?」


「あ〜流石に疲れたなぁ…って、うぉ?あぁ、お前かぁ…お前ホントに膝の上が好きだなぁ…。」
「前も俺が釣りしてる時に膝に乗ってきたもんなぁ、釣れた時だけ起きて強請るんだしなぁ。」

静雄の山に行くといつも動物達に歓迎される。
ここの動物達の為に色々と小屋とか巣箱を作ってからは特に懐かれた気がする。ちゃんと判っているんだなぁと感心したものだ。
まず静雄の家が見え始めた辺りで犬達が駆け寄ってきてくれる。千切れんばかりに尻尾を振って飛び込んできたり周りを駆け回ったり、ここまで全身で喜びを表現されると悪い気はしないっていうか嬉しいもんだ。乗馬にも慣れてきて意思の疎通が出来てきた気がする。釣竿を持つと猫が群がってくるのには苦笑するが、猫パンチされると癒される気がす…癒される。外で昼寝してると羊が寄り添ってくれるんで暖かいし、たまに枕になってもらっている。こいつらめちゃくちゃ綺麗なんだ。
それにしっかり躾けも行き届いている。お手・おかわり・おすわり・伏せなんてレベルじゃなく、俺の言ってる事を理解してるんじゃないかって程だ。流石だなっと静雄や臨也に言うと何だか微妙な顔をされたが…変な事を言っただろうか?




「…シズちゃん……何故かな…ドタチンを殴りたい。」
「やめとけ……まぁ、何つーか…………なぁ…。」


(何でドタチンには従順なワケ?俺みたいにモフられて襲われたら良いのに!)
(羨まし…いやいやいや…俺は家主・家長・ボスなんだって…でも良いなぁ…;;)



世の中ってこんなもんである。



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