ランチを済ませた後の穏やかな時間をゆったりとダイニングで過ごす2人。
昼からの仕事に備えて暖炉の前で横になって目を閉じる静雄。
いつもは心地よい静けさに包まれる時間なのだが、この日はテーブルで臨也がブツブツと呟きながら紙に文字を連ねていた。
平和島牧場
静雄牧場
シズちゃん牧場
シズ牧場
…あぁ…まてよ…牧場って付けたらあの動物達を全部売り払えなくなっちゃうか……駄目だな…あの金にならない馬と肉牛だけでも売ってやるんだから…。そうなると…農場的な路線でいくか…。総合的な感じだしね。色々な物を売り出していくんだからさ!
とりあえず、思いついたのを書き出していく。
平和島農場
静雄農場
シズちゃん農場
池袋最強農場
最強農場
山の神農場(山ノ神・山神・山神様とか?)
バーテン農場
あ、「農場」って「ファーム」でも良いのか。「農園」ってのも間違いじゃないよねぇ。
う〜ん…先にどの名前を使うか決めた方が早いか…。
「ねぇ、シズちゃん…シズちゃんはどれが良い?」
「あ?」
振り返って暖炉前で寝そべるシズちゃんに聞いてみた。テーブルで書き込みをしている俺を仕事してるとでも思っていたのか、話を振られて面食らっていた。っていうか寝てたの?
「…んだって?」
起き上がってこっちに来るシズちゃんは気だるげで色気がある。そんなのに加えて俺の背にぴったり寄り添って、テーブルに手を付いて、後ろから覗き込むように俺の書き込む紙を見て、耳元に直接囁くなんてシズちゃんのクセに生意気だ。
「ん…こ・ここの商標っていうか名称っていうか、ロゴを作って登録するんだよ。」
「うっかりしててさ…今日中に全部やってしまわないと駄目なんだ。やっぱり記念日って大事だし。」
そう、今日この日に登録して発足しないとね。4/20、シ・ズ・オの日。
シズちゃんにピッタリじゃないか。
引き篭もりな自給自足生活じゃなく…作った物を販売するって事に手を出していっても良い時期だと思うんだよね。それにはまずはカタチから。
「ちゃんとデザイナーは抑えてあるんだけど、ある程度のラフ画はこっちでやらないとね。」
「…何の話だって…??」
「ホント、バカだよねぇ;」
「んだとコラ!」
「良いから、とりあえずは…まずどの名前を使うか決めてよ。シズちゃんの家なんだし。」
「?…お前の家でもあるじゃねーか。」
「っ!!ち・違うって、いや違わなくない…けど…;これは農業的な意味の事だからであって!!」
「俺は農業的な事は全く手を出してないからっ!良いんだよ;…表札とか…そんなんじゃないから…。」
「そうなのか?…あぁ、表札か。付けとかないとな。」
「!!良いから!そんなの!ここ宅急便も郵便屋も来ないでしょ!そそそ…それよりこっち決めて!」
「??…ん。」
「どの名前か…だから…
平和島
静雄
シズちゃん
シズ
池袋最強
最強
喧嘩人形
バーテン
山の神
う〜…他に何かある?」
「……静雄…。」
「えっ?何?静雄?静雄が良いの?静雄…静雄かぁ…まぁ、良いかもね。静雄の日だし。調度良いか。」
「………。」
「静雄農場…静雄農園…静雄ファーム…ファーム静雄…もっと他にあるかなぁ…?」
「……良い…な。」
「ん?何が?最初の?静雄農場??…ある意味ベタだよね。まぁ、シズちゃんだし…いっか。」
(…静雄…か…//)
「じゃぁ、『静雄農場』って事で…あとはロゴマークだよね。…どんなのが良いかなぁ。」
「イラストちっくなのを盛り込んだ方が目立つしインパクトあるよねぇ。」
「やっぱり動物のが好印象かな?」
(売り払う予定の動物は外して……)
「やっぱりシズちゃんが最初に飼ってた動物のが良いかなぁ。…何が居たっけ…?……え〜と…。」