家に電話がかかるなんて、ぼくにしては珍しいことだった。だけどぼくの番号を知っている相手は、両手に収まる数でしかない。躊躇いもなく、受話器を取りに立ち上がった。
――それが、あれの始まりだったとも知らずに。
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