自明灯

「クソかよ」

 禪院甚爾こと俺は、この度嫁が死んだショックで前世の記憶を思い出した。いや、普通に遅すぎるんだわ。

「はー、クソ。まじでクソ。もっと早く思い出しとけやクソが。使えねーなクソ」

 ちっせえアパートの一室に置かれた嫁の仏壇の前で、クソクソ言いながら赤ん坊の恵を抱えて途方に暮れる。涙さえ出てこねえ。何で俺はもっと早くに前世を思い出せなかったのか。そうすりゃ嫁を死なせずに済んだ筈だ。あいつが死ぬ未来を思い出せてりゃ、クソ実家に頭下げてでも助けてやったのに。それくらいにあいつを愛していた。あの家に借りを作ってでも、頭を下げて辛うじて残っていたプライドを傷付けたって、何だって構わなかったんだ。
 あいつは感情の表への出し方が見ていて気持ちのいい女だった。よく笑い、よく泣いて、俺に寄り添って代わりに色々と憤慨してくれた、そんな女だ。心底惚れてたし、大事にしてやりたかった。
 あんな家で育ったモンだから家族ってのにいい思い出もクソもねえが、この女となら家族になりてえとそう思って。ガキをこさえたのだって、幸せな家庭にガキが必要だと思ったからだ。俺が思ってた理想の家族ってのはそういうモンだったからな。
 父親と母親がいて、ガキがいて。全員健やかに過ごす。呪霊だの何だのがいるクソみてえな世の中だが、俺が全部守り切ってやると思ってた。俺ならできると信じてたんだよ。天与呪縛によって奪われた呪力の代わりに得たこの頑丈な体さえありゃ、守れねえモンはねえと思ってたんだ。
 が、俺の嫁は死んだ。ひどく呆気のねえ死に方だった。あいつは俺と恵を置いて死んじまいやがった。やっと得た幸せもぶち壊れる。俺の人生クソじゃねえか。天とやらはどうして簡単に俺から全部を奪っていくのか。

「あーあ、どうしようかねぇ」

 嫁が死んで無気力になってはいるが、このままじゃダメだというのは前世の記憶が生えてきた俺には分かる。前世含めて一番愛した女は死んだが、俺には恵がいるのだ。故に育児放棄なんぞする気は起きなかった。多分これは前の俺の記憶のおかげ。思い出すのが遅すぎてクソっつう思いしかねえが、無いよかましだ。そこだけは感謝してやらんでもねえ。

「はぁ、ちっせえなぁおまえ」
「んぶ……」

 仏壇に置いた笑顔の嫁の写真を眺め、それから抱きかかえている恵の顔を見つめる。どっからどう見たって俺の遺伝子しか仕事してねえ。ちょっとくらい嫁に似たとこあったってバチ当たんねえだろうに。クソ。
 ふわふわしてる赤ん坊の頬を突けば、やめろと言わんばかりに顔を顰めた。可愛いっちゃ可愛いが嫁にまじで似てねえなァ……。

「とりあえず保育園に突っ込んで、働くか」

 あーあ!嫁が死んだばっかで打ちのめされてるし、前世過労死したからホントは働きたくねえけど、ガキが居るんだから働かねえとな!!クソ!!
 なんて思って、嫁が死んでから数年が経った。

「寂しくねえか、恵」
「……べつに」

 床に座ってぶすくれた顔のガキを抱えながら、ぼけーっと教育番組を見つめる。こういう番組があることすら知らなかった俺の幼少期って、やっぱどう考えてもやべえよな。ガキがそういう人生歩まなくて良かったわ。誰があんな家にこいつを取られるかってんだ。
 だがまあ、頼る親戚も居ねえ男が一人でガキを育てんのは相当に難しい。身体能力の高さを活かして要人警護の仕事をしているが、そういう護衛任務は拘束時間が長かった。そりゃ要人が寝てる間も警護しなきゃなんねえしな。
 ……つまり何が言いたいかというと、俺はガキの為に働いてるくせにあんまりガキと一緒にいてやれてねえ。幸い給料はいいから金銭面での不自由はさせてねえが、それ以外は不自由ばっかりだ。世の片親は良くやってるな、なんて身に染みて理解した。

「俺はちと寂しいな。おまえとあんま一緒にいれねえから」
「…………」
「恵ぃ?なんか言え」
「おやじはかあさんがいないのがさみしいんじゃないのか」

 その言葉に驚いて、テレビにやっていた視線を抱えている息子へと向ける。そんな事考えてたのかよ、おまえ。
 俺の目線に気づいたのか、ガキも俺を見上げてきた。んー……なに考えてんのか分かんねえな。俺は人でなし過ぎて他人の機微が分からん。息子のことすら分かんねえ。

「せんせがいってた。おかあさんがいなくておとうさんかわいそうだねって。さみしいだろうねって」

 とにかく、誰だか知らねえがブン殴る事を今決めた。お母さんがいなくて俺がかわいそう、だァ?どう考えたって可哀想なのはガキだろうが。恵のが母親がいなくて寂しいだろうに、なんで俺の話になってんだ。
 アレだな。俺への同情心を醸し出してあわよくば、とか思ってるクソ女が恵に言ったんだ。私だけは俺の寂しさを分かってますよ、なんて言いたいんだろう。うるせえ余計なお世話だわ。
 あーあ、嫁を引っ掛けられた自分の顔面には感謝しかねえが、それ以外は面倒ごとばっかり引き寄せちまうから嫌になる。再婚する気なんざ一切ねえし、というか今でもあいつを愛してるし。なのに女どもはそんなん知るかと言わんばかりに寄ってくる。しかしまあそれだけなら真正面から振ってやって、ハイサヨウナラでいい。
 が、俺のガキに要らんこと吹き込むのだけはダメだ。

「俺は可哀想じゃねえし、おまえに可哀想とか言ってくるデリカシーの欠片もねえやつの言うことなんざ無視しとけ」
「でりかし?」
「あー……ま、気にすんなって事だ。おまえの母さんは死んでるが、俺にはおまえがいるし可哀想でも寂しくもねえ」
「さっきちょっとさみしいって言った」
「……一丁前に揚げ足取りやがって。口が達者だな、おまえ」

 テレビの電源を消して、抱えてたガキごと仰向けになって床に転がる。ちょうど俺の胸の上にガキが乗っかった。さっきは口が達者になって成長したと思ったが、まだまだちっせえな。全然軽いわ。急に横になった俺にびっくりしたのか、目をまん丸にさせた恵は、俺のシャツにしがみついている。お気に入りのシャツがシワシワになってら。小せえ手で良くやるよ、なんて感想が浮かんでくる。
 そのまま恵のふわふわしてる頭を撫でて、柔らかい頬を突きながら息子の未来へと思いを馳せてみた。こいつ、なんか知らんが両面宿儺に気に入られるんだよな。術式が面白いみてえな反応だった気がするが、ちゃんとした理由は分かってなかった気がする。あと、その過程でボッコボコに殴られてるし、その後も確か先輩あたりに殴られてたっけ。好みの女のタイプがどうのこうの、ってのだけはなんとなく覚えてはいる。……ちょっと意味わかんねえわ、何が女のタイプだよ。
 ううむと頭を捻りながら恵の頬を触っていると、それが擽ってえのか嫌なのか。どっちかは分からねえが、ちょっと顔を顰めてはいるものの、久しぶりの親子の触れ合いに喜びが滲み出ているこいつの可愛さといったら。緩ませた頬とかは嫁に似てるよなあ、なんて赤ん坊の頃は見つけられなかったあいつの面影に口角が釣り上がった。まだまだ小せえが、いつの間にかでかくなりやがって。このまま護衛の仕事を続けてりゃ、こいつの成長を見逃すかもしれねえんだよなあ。寂しい思いもさせてるだろうし、ちと仕事について考えねえと。
 俺のシャツを握っていた手を離し、生意気にも俺の頬をペチペチしてくる息子に、偶には良いかと抵抗しないでやった。そしたらそんな俺が珍しいのか、目をキラキラさせて顔を引っ張られる。あーあ、いつのまにか親バカになってら。

「らいしゅう、うんどうかいある」

 そのまま暫くされるがままになっていると、恐る恐ると言った様子でガキが言葉を放つ。流石に俺も目を瞬かせた。運動会がある、とかもっと早よ言え馬鹿野郎。しかし、期待を裏切られるのが嫌だったのだろう。……マ、今までそういう行事に顔出せなかった俺の行動が悪いし、文句は言えねえ。発表会とか授業参観とか尽く行けてねえしな。本当は行きてえんだけど。

「行く。何日だ」
「ついたち。これる?」
「絶対行くから安心しろ」
「……んむ」

 俺の言葉にだらしなく口を緩めて嬉しそうに笑うガキに、なんとも言えない感情が湧き上がった。あいつも俺の一挙一動に感情を露わにしてたっけ。なんもかんも諦めてた俺と違って、いい奴だった。ああいう奴こそ長生きするべきで、俺みてえなやつはさっさと死んだ方が世の為だろうに。

「なあ恵。もうちょっと甘えたって良いぜ。まだガキなんだし」
「でもおやじいそがしいしがんばってる」
「甘えてくんねーの?」

 このガキが高校生になった頃、俺は生きているんだろうか。下手に俺が生きてりゃ、こいつが強くなれなくなるかもしれねえし、死んでた方がいいかもしれねえ。何せこの世は弱い奴から死んでいく。こいつを生かす為に俺の死が必要なら死ぬのも構わねえが……。
 記憶を思い出す前の禪院甚爾ならまだしも、普通にこいつの親父をやってる俺が死ねばアホほど落ち込む事は目に見えてる。あいつを亡くした俺の様に自暴自棄になりかけて、だけど俺にとっての恵の様な存在はこいつには居ねえし、俺と違って落ちるとこまで落ちちまいそうだ。
 なら、死なねえ様に鍛えるしかねえか。

「……なあ、あそぼ」

 控えめに唇を突き出しながら放たれた言葉に俺のテンションは爆上がりした。こんなに可愛い息子を痛めつけて鍛えるなんざ俺には無理なんだが?いやまあ死なせたくねえから鍛えるが可愛すぎねえか?あそぼ、って何だあそぼって。はぁ、俺とあいつの息子が今日もかわいい。

「おうおう、なにして遊ぶ?」
「おすなであそびたい」
「んじゃ公園行くか。昼飯はマックだ」
「まっく!!」


 ※※※


「あ……あんのクソアマ……!」

 最近、面倒な事に俺に言い寄ってくる女がいた。しかしまあ、俺はあいつ以外を愛するつもりは一切無かった訳で、普通に断ってた。が、あろう事かあの女は俺のストーカーになったのだ。馬鹿だろ。ふざけんじゃねえ断られたんなら素直に引き下がっとけ。
 恵になんかあったら嫌だし、速攻警察に通報して接触禁止令を出してもらったんだが、今度はその女が自分のガキを俺ん家に置いて失踪しやがった。いやマジで意味わかんねえんだが。頭おかしいだろあの女。
 とりあえず警察にその子供……津美紀を警察に保護してもらったものの……。

「おやじ、あの子だいじょうぶか」
「どうだろうな」
「かぞくいなくなったんだろ」

 俺が警察に通報したりなんだりしている間に、恵はあの女の子供、津美紀と仲良くなってたらしい。息子は嫁に似て割とコミュ力がある様だ。そのせいか、家族に捨てられて警察に保護された津美紀を恵は酷く心配している。しょっちゅう俺に津美紀の事を聞いてくるし、結果的に一時保護所にちょいちょい顔を出す羽目になった。
 警察の方も、母親が見つからねえわ父親も見つからねえわでどうしたもんかと頭を悩ませていた。普通ストーカーしてた男の家にガキ置いて失踪とかしねえもんな。
 で、そこまで考えて俺は思い至った訳だ。津美紀って恵の義姉だよなって。そんで呪い受けて寝たきりになってるっつー可哀想な人生送ってた気が。今でも十分悲惨と呼べる人生送ってるがよ。
 ……まだ仮定の段階ではあるが、俺が引き取った方が良いだろうなァ。
 などと思い立ったが吉日。津美紀を養子に迎え入れる事にした。

「え、伏黒さん本気で言ってます?」
「本気だ本気。あの女に情は一切ねえが、アレがトチ狂った原因は俺にもあるだろ。俺がなにもしてないとしてもな。それでなんの罪もねえガキの人生まで狂っちまうのは寝覚が悪い。あと息子も津美紀を気に入ってんだ」

 てな訳で、津美紀を俺が引き取るって警察と役所に伝えると、なんか知らんが泣かれた。若い身空で嫁に先立たれるわストーカーにあうわと苦労してる俺が、養子を取るって選択をした事に感激したらしい。男手ひとつで頑張ってるねえ、だとよ。感応能力高過ぎやしねえか。
 出来るだけ行政もサポートしますからね!とベショベショに泣いてるオッサンとオバハンを尻目に、津美紀と恵を抱き上げて帰路に着く。今日ほど鍛えておいてよかったと思った事ねえわ。ガキ二人を楽に担げるんだもんよ。

「あ、あの……伏黒、さん」
「パパでもお父さんでもなんでも良い。今日から家族になるんだし」
「おやじのことなんかおっさんでもいいぞ、つみき」
「良かねーわアホ」

 良いこと言った!みたいに満足気な顔をしている恵に軽く頭突きをかまし、困った様な……遠慮している様な面の津美紀の顔を真っ直ぐ見つめた。あの女からよくこんなイイコが生まれたなァ、なんてちょっと感心する。
 津美紀の母親は確かに美人で色気もある女だったのだが、なんというか言動が残念な奴であった。俺が靡くのが当たり前、そして津美紀は邪魔者という態度を一切隠さなかったのだ。故に嫁を今も愛しているというのもあるが、そもそも親バカの気がある伏黒甚爾からすりゃ、自分のガキを疎ましく思ってる時点で関わり合いを持つ気がなかった。
 そう、無かったからこそ縋られようとも冷たくあしらっていたんだが……。マゾだったのか何なのか知らねえが、俺が素気無くすればする程あの女は一人で勝手に盛り上がっていた。マジで何なんだあの女は。あたしの気を引きたいんでしょう、なんて俺にのたまった時は人生で初めて間抜けヅラを晒した気がする。何なんだ、マジモンの無敵か?

「ガキが一人増えたとこで別に構いやしねえ。イケメンなパパが出来たとでも素直に喜んだらいい」
「おっさんだろおやじ」
「まだ二〇代だよバーカ」

 俺が両手塞がってるからって、恵が好き勝手に顔を引っ張ってくる。良い度胸だ。家帰ったら覚悟しとけよこのクソガキ。歯をカチカチ鳴らして恵に噛み付くふりをしたり、それに反抗した恵が俺の髪を引っ張ったり。そんな風に戯れあっていると、クスクスと控えめな笑い声が聞こえてきた。
 ゆっくり津美紀の方を伺えば、俺とガキの戯れ合いが面白かったのか、口元に手を当てて上品に笑っている。あーよかった。全然笑わねえから心配してたんだが、ちゃんと笑えるじゃねえか。恵も津美紀が笑った!とはしゃいでるし。ガキは面倒くせえ事なんざ何も考えずに笑ってりゃ良いんだ。ま、親に捨てられて何も考えねえなんて事は難しいだろうが。

「ケーキでも買って帰るか。家族になった記念日って事で」
「おやじ、おれチーズケーキがいい」
「津美紀は何が良い?」
「おれ!チーズケーキ!」
「津美紀に聞いてんだ恵は後だ後」
「わ、わたしもチーズケーキがいい」

 嘘つけ、俺でも分かるわ。恵に遠慮してんのかなんなのか知らねえが、チーズケーキと言った津美紀は、しかし案の定ケーキ屋でチョコレートケーキを見て目を輝かせていた。素直にそれが良いって言え。
 恵が所望していたチーズケーキと、津美紀がそわそわして見つめていたチョコレートケーキ。あとついでにアップルパイも買って帰るか。ガキを二人も抱えている俺を見てちょっと引き攣った顔をしてる店員に注文をして、津美紀にケーキの箱を持たせた。流石に腕が三本ねえとケーキは持てねえわ。
 そうして会計を終え、店を出る頃には恵はおねむになっていた。家族が増える事が嬉しくて朝からはしゃいでいたが、ここに来て電池が切れたらしい。むにゃむにゃと何やら呟いているガキが落ちないように抱えなおし、そのまま嬉しそうな顔で箱を抱える津美紀に話しかけた。

「ケーキ以外に何か食いたいモンあるか?」
「え、えっとね……ハンバーグ……」
「おう、じゃあ今日の晩飯はハンバーグな」
「ほんと?」
「ホントホント」

 恵は男だし、割と適当に扱ったってどうにかできる根性はあるだろう。けど津美紀は呪術の“呪”の字も関係ねえガチの一般人のガキだ。しかも女で小せえ。マジで接し方が分からねえんだが。丁寧に、出来るだけ傷付けないようにすりゃ良いだろうが、本当にそれだけで足りんのか?わっかんねえわ……。
 引き取ったからには責任ぐらい持つつもりはある。つーかちゃんとやらねえと嫁が祟ってきそうだ。あいつそういうの煩かったし。

「ゆっくり慣れていけばいい。慌てる必要はねえんだ」
「……うん」

 突然生えてきた前世の記憶からすると、津美紀は典型的な善人で、血の繋がって無え一つ年下の弟を本気で叱れるような人間だ。母親に置いてかれた境遇でよくそんな善性を保てるもんだと思う。今後俺みてえなクズがガキ共を育てていっても、その善性が保たれるかは分からねえが。……いや、女はそういうとこ割と強えし心配しなくてもいいか。
 そもそも俺が考えるべきは恵の鍛え方と、津美紀が呪われねえ様にする方法だ。元々肉体強度が高え俺は無茶な鍛錬も出来たが、恵はそうもいかねえ。それに俺のこれは身体能力に託けた力任せが大元だ。んー……なんかどっかの武術道場の見学でも行ったほうがいいか?一回見りゃ動きは覚えられるし、その方が恵への教え方の参考にもなる。
 あとは実家に忍び込んで、恵の術式である十種影法術の詳細を調べておかねえと、あの両面宿儺が恵に興味を持つぐれえだから、どう考えたって一般的に知られているよりもやべえ術式だ。無下限呪術と六眼の抱き合わせの人間とやり合える術式らしいし。
 で、だ。それはそれとして津美紀が将来かかる呪いへの対処法だが、マジで分からねえ。そもそもなんの呪いかも分からねえし、原因が分からねえなら対処法なんぞ思いつくはずがない。禪院のツテを使って護符みてえなの持たせるのが精々だが……。津美紀だから、なのか恵の姉だから、なのか。もしかしたら五条の坊主が面倒見てるガキだから呪われた、って可能性すらある。ワンチャン津美紀の母親関係もあり得るしな。

「明日は服買いに行こうな。恵も保育園休みだし」
「おようふく」
「うちには男物しかねえしな。いっぱいお洒落しようぜ」
「……あ、ありがとう……」

 素直でなにより。恵は最近なんかトゲトゲしてんだよなぁ。俺に似たか……?



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