流星と午睡



何時だか覚えていないが人は言った
何処だか覚えていないが人は唱えた
何故だか分からないけど人は叫んだ

その言葉は何だったかな?

この世界は謎に包まれている。
何で?総てはwhyから始まるがbecauseを言える人はいないだろう

何故ジョンは昼御飯を食べなかったの?
何故ならジョンは寝ていたからだよ
何故ジョンは寝ていたの?
何故ならジョンは昨日の夜寝ていないからだよ
何故?何故?何故なの?
答えればそれについての質問は尽きない
幾つもの毒があれば同じだけ薬もある。だが謎に対しての回答は少なすぎるのがこの世ではないのだろうか


そう漠然と思ったのは歴史の授業中だった。右手でくるくると器用にペンを回しながら外をぼうっと眺める
だんだん飽きてきたのか机に突っ伏し昼寝を始めた

彼の名前は成瀬圭。桐皇学園に通う高校三年生だ
三年生は受験シーズン真最中で強豪であるバスケ部も最近やっと引退したらしい
圭はバスケ部だが幽霊部員に近い部員だった。部活には出ていなかったが彼は帰宅時間が異様なまでに遅かった


彼はその日、都会の光を浴びながら歩いたその先には女がいたがにこりと愛想笑いもせずに腕を引き、その辺にあったラブホに入っていった

そうそうに服を脱がせ穢れた行為に移る二人はさぞ、滑稽であろう
その行為に意味がないことなど圭は理解していた。理解していた筈なのに、行為を続けていた

皮さえ剥げば唯の肉の塊でしかないのに、何故人は愛を騙るのだろうか
口先なら幾らでも嘘は吐けるし、体を重ねるのが愛なら俺はこの女と愛し合っているのだろうか

相手が達し、意識を失ったところで乱れた服を着直しホテルから出る


無意味なことだと分かっているが、愛が何かを知りたいんだ
目に見えないし、手に取ることも出来はしない
成らば、愛とは何だか?
何故人はそれを愛と呼んだ?


ふらっと家に着きリビングに光がないのを確認してから部屋に入る

どうせ今日も夜勤で帰ってきはしない