ユー・アー・マイ・ヒーロー


「いいか、佐助。男なら、欲しいと思ったモノは死ぬ気で手に入れろ。途中で諦めるなんてカッコ悪いことは絶対にすんな。絶対に諦めるなよ。いいな?」
 まだ貴方の腰くらいしか背丈がなかった頃、貴方は俺に向かってそう云った。
 あの頃の俺にとって貴方は紛れもないヒーローで、憧れで、貴方の云うことを聞けば何でも出来るんだと思っていた。
 毎日がキラキラと輝いていた。
 今では大人になって綺麗なことよりも汚いことの方が多い現実を知ってしまったけれど、それでもあの頃貴方が俺に教えてくれたことは俺の宝物。
 大事に大事に抱えて、今日という日を待っていた。
 もう純粋な子供ではなくなったけれど、貴方は俺を見てくれるだろうか。
 優しく笑って出迎えてくれるだろうか。
「待っててね、お兄ちゃん」
 今夜、貴方を夜這いに行きます。

END
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