墜落スカイ


 地を蹴る音がして、君は大空へダイブ。
 青いキャンバスに君の姿が切り取られて、もう帰ってこないんじゃないかと思った。
 今この瞬間、俺は君の中にはいないのだろう。
 高く、高く。
 ただその欲求だけが君を支配する。
 俺の居場所はない。
 どさっと鈍い音を立てて君が墜落。
「おかえり」
 落ちたバーを見て舌打ちをしていた君が怪訝そうに俺を見る。
「は?」
「間違えた、『お疲れ』」
 間違えてなんかないけどね。
 君から飛ぶことを奪ったら、水から引きずり出された魚のように呼吸困難で死んでしまうだろうから。
 俺は我慢する。
 それが俺の愛なんだ。
「お前、変な顔してるぞ」
「ひどい」
 本当はね。
 二度と飛べないように、その綺麗な足をへし折ってしまいたい。

END
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