あのゴールテープの向こう


 おい止めろ、という声を無視した。手首を握る腕に力が籠る。明日には痣になるだろう――もし肉体が残っていれば。
 止めろ止めろと君が云う。どうして。さっき云ったじゃないか。俺のためになら死んでも良いって。
 ハイスピードで左右に流れる景色に、君の悲鳴がハウリングを起こして俺は今にもトランスしそう。
「もうすぐだよ」
 連れて行ってあげる。俺と君、それ以外に何もない楽園へ。
 ゴールテープはガードレール。

END
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