だいじなものなのだと
俺は青色が好きです。
何故だか分かりません。
何故かは分からないのですが、物心ついた時から青が好きでした。
クレヨンは青しか使いませんでしたし、戦隊ものはもちろんブルーを応援してました、自転車も青でした。
何故だか青が好きだったのです。
もう少し大人になると、海に出かけるようになりました。
海って素敵ですよね。
空の青と、海の青――そのどちらも一度に見られるのですから。
そして大人になった今でも、青が大好きです。
大好きですけど、でも本当は悲しい気持ちになるのです。
何故でしょうね。
何故青が好きなのか分からないのと同じように、何故悲しくなるのかも分からないのです。
空を見ていると、その広さに抱きしめられているような気がします。
その優しさが嬉しくて、もっと抱きしめてほしくて、もっと近付きたいのに、そうすれば俺は熱に焼かれて消えてしまうのでしょう。
海を見ていると、その雄大さに許されているような気がします。
その優しさに浸りたくて、もっと慰めて欲しくて、もっと満たされたいのに、そうすれば俺は波に呑まれて溺れてしまうのでしょう。
そうなったって良いとすら思ってしまいます。
でも、違うのです。
俺の大好きな青が、本当は空でも海でもないことを、俺は本能で知っているのです。
俺はずっと探している。
空の青と、海の青の中に探している――何かを。
何を探しているのでしょうね。
何故探しているのでしょうね。
ずっと答えは出ないまま、俺は探し続けるのかも知れません。
今日も空は青いです。
今日も海は青いです。
いつか、出逢えたら良いのに。
青い青い、
END