積み木


 俺は子供の頃、積み木で遊ぶのが好きだった。
 同年代の子供たちが興じる遊びには見向きもしないで、部屋の隅で木のブロックを相手に何時間でも遊んでいられた。
 様々な色と形のブロックを、思い通りに組み立てて行く。
 ルールは自分。
 結果を認めるも認めないも自分。
 同じカタチを一日何回も作り上げることもあれば、毎回変えることもある。
 その時の気分次第で変わって行くそれは、だが概ね満足のいく出来だった。
 きっと今でも目の前に差し出されれば、あの頃と同じように夢中になるだろう。
 さすがに遊ばなくなって久しいが、それでも性格が激変したわけではなく、興味の対象が積み木から別のものに変わっただけだ。
「お待たせ、政宗」
「ッ……佐助!」
 はにかむように笑う君。
 今の俺にとって一番大事なもの。
 面白みのない生活に彩りをくれる君はまるで、あの頃の積み木のように欠かせないもの。
 毎日丁寧に扱って、大切に保管して。
 精魂籠めて積み上げてゆく君との関係。
 嗚呼、最後に崩す瞬間が待ち遠しい。

END
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