幸せ家族計画 お嬢さんを僕に下さい。お嬢さんを僕に下さい。お嬢さんを僕に下さい。お嬢さんを僕に下さい。
呪文のように頭の中で同じ言葉を繰り返す。お嬢さんを僕に下さい。お嬢さんを僕に下さい。猛烈に緊張して吐きそうだ。
何となく付き合いはじめた彼女だったのに、いつの間にこんなことになったんだろう。でもまあ気が合うし友達みたいな感じで一緒にいても楽しいから結婚するには良い相手なんだろうなと思う。
幼い頃に母親を亡くしたせいか、料理はうまいし世話上手だ。俺も家事はきらいじゃないから上手く分担できたら良いな、なんて妄想をついしてしまう。うん、それくらいには好き。口の悪いところと変な英語まじりの喋り方が玉に瑕だが、最初はびっくりしたそれも今では好きになっている。
うん、やっぱり彼女と結婚すれば人並みに幸せになれるのかも知れない。
しかし神様は人間を弄ぶのが好きだった。
父よ。
そう云って紹介された人を見て、俺はぶったまげた。
「Hey、テメェか、俺の娘に手ぇ出しやがったのは」
「お、お、お……!」
「Ah?」
「お父さんを僕に下さい……!!!」
俺の妄想した幸せ家族計画はただの妄想で終わったが、火のついた俺を止めようったって無駄な努力だ。
END