妄想101回目


(おはよう。今日も好い天気だね)
 なぁんて、一度も云ったことのない妄想101回目。いつも扉の横の手摺りにもたれて君を見ている。少しでも視界で目立つようにと髪もオレンジに染めた。君はいつもの特等席で、いつものように読書に夢中。
(嗚呼、生まれ変わったら本になりたい、多少乱暴に扱われても良い、穴が空くまで見つめて、どこへ行くにも連れてって)
 ハァと溜め息を吐いて窓の外を見ると、もう次の駅で君とお別れなんだとわかった。たった三駅の君と僕の逢瀬。101回目の片想い。

END
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