流※元親×政宗
確かに酔ってはいたのだろう。
しかし男の計算高さを元親は感じた。
男の容姿、男の目線、男の動きに、意図を感じた。
そして、元親がそう感じている事を、男は知っている。
ぴちゃぴちゃと、音を立てて男が腹を舐める。
赤い舌が、ぬらぬらと蠢く。
前髪から覗く伏せられた視線が、時折元親の目を挑戦的に見上げた。
ぞくりと肌が粟立ち、股間が熱く膨らむ。
男の笑う気配がした。
だが男も元親も、何も云わなかった。
確かに酔ってはいた。
元親も、男も。
だが、これは計算だ。
あとは、
──乗るか。
──反るか。
「美味いか?」
片方で肘を突き、寝そべったまま、元親は空いた手で、股座に陣取る男の長い前髪を梳いた。男は一瞬動きを止め、猫のように目を細めると、笑った。
「ああ、美味いぜ」
そう云って、また手にした徳利を傾け、中身を元親の腹に垂らした。透明な液体が、元親の腹の筋の間に溜まり、溢れた液を男が舌で掬い取る。むわっとした、酒の匂いが部屋に充満していた。
云い出したのは、男からだった。
面白そうだと思った元親に、異論はなかった。
いわば共犯だった。
ここから先は、どうだろう。
元親が、ぐいと股間を突き出すと、猛った雄が男の喉元を押し上げた。
「Ah……」
男が溜息のように呟いて、
「あつい」
おもむろに、着ていた着物の衿をはだけた。
それを元親が、上げた片足で器用に男の腰まで引き下ろした。
男が欲望に満ちた目で元親を見上げ、躊躇いもなく、元親の着物の裾を開いて、膨らみに口付けた。
元親は低く呻き。
他人の下履きを外す慣れた手つきに、遠慮をやめた。
END