J.I.N.X. さあ、仕事に行こう、と玄関に行ったら、一足先に出勤したはずの政宗が靴を履くような姿勢のままうずくまっていた。気分でも悪くなったのかと思って慌てて駆け寄る。
「大丈夫、政宗? 気分悪い?」
涙目の政宗が縋るような目で見上げてくる。朝から心臓に悪い。
「右から履いた」
「は?」
「靴、右から履いちまった、もうダメだ」
突然すっくと立ち上がると政宗はリビングに戻って行った。
「ちょっと政宗、仕事は?」
「右から履いたのに俺に仕事行けってのかこの人でなし」
嗚呼、ろくでなしのジンクス。
END