直進メリーゴーラウンド


 帰り道、俺と伊達ちゃんは途中の駅まで一緒に帰る。ラッシュの電車は正直ゴメンだけど、それも伊達ちゃんがいればメリーゴーラウンドな気分。
 伊達ちゃんを押し潰しちゃわないように、他の奴になんか触らせないように、乗降口のすぐ横のスペースに伊達ちゃんを誘導して、俺の腕でつっかえ棒した狭い空間に伊達ちゃんを閉じ込めた。それってつまり伊達ちゃんは俺の腕の中。
 ふわあと良い匂いが鼻をくすぐる。その匂いを嗅ぐと落ち着くような、逆にそわそわするような気分になる。
「良い匂い」
 伊達ちゃん以外に聞こえないように、耳元で呟くと、伊達ちゃんは耳を真っ赤にして俯いてしまった。おかげで襟ぐりから白い項が見える。ああ、抱きしめたい抱きたい抱き合いたい。
「佐助、おま……」
 俯いた伊達ちゃんが今度は頬っぺたまで赤くなった。
 あ、ばれちゃった。軽蔑しないでね。だってこんなに近くに伊達ちゃんがいるのに無理だよゴメンね。
 徐々に腕のつっかえを短くして、伊達ちゃんとの距離をマイナスにまで縮めた。
「次で降りよっか?」

 君がイエスと云えば、揺れるメリーゴーラウンドはピンクネオン煌めくネバーランド行きに早変わり。

END
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -