ゲームライフ 〜アサクリ編〜 1.俺の恋人は超美人です
2.俺の恋人は料理が上手です
3.俺の恋人はヤバいくらいHです
4.俺の恋人はまあ男なんですが
5.俺の恋人に欠点なんてありません
――が、敢えて挙げるならひとつだけ。
「ねえ……、何やってんの」
訊いても良いものか。
答えてもきっと分かんないんだろうな、と思いつつも気になってしょうがないので訊いてみる。
すると部屋の入り口に立っていた恋人は、シーツを身体に巻き付けて頭から被ったままのそのそと近寄って来た。せっかく綺麗な顔も半分シーツに隠れて見えない。おまけに腰のところをバスローブの紐で縛って固定している。なんだか胡散臭い白魔導師みたいだ。
二人掛けのラブソファの真ん中に座っていた俺を尻で押しのけるようにして無理矢理座り込んだ恋人は、俯きがちに無言のままだ。だけど何だか満足そうな気配がひしひしと漂って来る。
「ねえ……」
「こうしてたらバレねえんだよ」
「え、何が」
「俺がアサシンだって。すげえよな。座ってるだけでだぜ」
「はあ?」と云いたいのを必死に堪える。
きっとまた何か影響を受けたんだろうけど、さっぱり分からない。
「でも何か雰囲気出ねえな。二人だからか? やっぱ二人座ってる間に紛れ込まなきゃダメだよな。それともソファだからか……うん、やっぱ公園のベンチがマストか」
「ちょっと待った」
すっくと立ち上がりそうな恋人を俺は必死で引き止めた。なんかよく分かんないけどこのまま放置していたら大変なことになる。
両肩を抑え込んだ俺を恋人が訝しげな顔で見上げて来る。鼻から上はシーツで隠れて見えないけれども。
「伊達ちゃん、俺デビル4やりたいな」
「はあ? 俺は今アサシン(・クリードに夢中なん)だぜ」
「うん、アサシンだよね、カッコいい。でもね、伊達ちゃんに人殺しは似合わないよ。伊達ちゃんはそんな非道なことしないよね?」
「え、あ……まあ……」
「自信持って」
「お、おう」
「人間殺すより、悪魔殺してる伊達ちゃんの方がカッコいいと思うな俺は。うん、絶対惚れ直すよ」
「そ、そうか?」
「うん、だからデビルやろう」
それから五時間、デビル4漬けになった。
俺の恋人は美人で、料理も上手くて、Hも相性最高で、男だなんてことは気にならないくらい最高のパートナーだと思っているが。
唯一欠点を上げるなら、どうしようもないゲームオタクだ、ということだ。
END