髭「どうして髭なんて伸ばしてるんですか」
云われた虎徹は、目を丸くさせてバーナビーを見た。
「だってカッコいいだろ?」
なに当たり前のことを聞くんだ、とばかりの虎徹に、バーナビーは溜め息を吐く。
それを不服そうだと捉えたのか、虎徹は顔をしかめた。
「なんだよ、文句でもあんのか」
「いえ、別に。似合ってると思いますよ」
珍しくバーナビーの口から出た褒め言葉とも取れる言葉に、虎徹は顔を輝かせて喜んだ。
「だろっ? だろっ? 毎日手入れも大変……」
「でも――」
虎徹の言葉を遮って、バーナビーは続ける。
「キスする時、髭が当たって痛いんですよ」
虎徹はあんぐりと口を開けると、次いで顔を真っ赤にした。
「ば、おま……ばっ」
「剃りませんか?」
「ばっか……っ云ってんじゃ、ねえ……!」
キスなんかしなきゃ良いじゃねえか!
大体俺とお前がキスする意味が分かんねえよ!
喚き散らす虎徹に、バーナビーは呆れたように息を吐いた。
「分からないはず、ないじゃないですか。そんなに真っ赤になって。ね、おじさん」
END