Mean fellow | ナノ



※安椿 パラレル 椿にゃん ゲス not連載 R18




Mean fellow 01











何が正常で何が異常なのか。



誰がそんなことを決めるのか。







自分には、家族にも友人にも口に出していない、夢があった。



夢と呼ぶよりは、野望という言葉の方が当て嵌まるのかもしれない。





幼い頃から、SF映画の中で観た人間半獣化実験のストーリーがずっと頭から離れずにいる。



人間にないものが生える。
動物と融合する。



アレは果たしてフィクションの世界でしか成り得ないことなのだろうか?



衝撃と同時に、疑問が沸いた。
その疑問が興味に変わって、興味が行動に移す原動力となり、気付けば実験の研究をもう何年も前から始めていた。



未だ解けていない疑問を解きたいと思うのは、普通のことだ。




だが、周りからはそんな実験に興味を持っているということを知られるだけで少し敬遠されてしまう。



『天才』と言われる反面、『変わっている』だなんて言われることもあり、いちいちそれに反応をするのも面倒くさくて、人前ではそのことを話すのはやめた。





人間半獣化の資料には神話などが多い。
だが、少なからず医学的理論を述べているものもあった。



そこから一人で勉強…というよりは本格的な研究を始め、大学に入る頃にはついにその薬が完成した。





しかし、そこで大きな問題が発生する。



実験台を誰に頼むかだ。


この実験の成果を世間に公表するつもりはない。
自己を満たすためだけの実験。


実験を受けたものは世間の目に触れにくくなる。



そう考えた時、脳裏に浮かんだのが、後輩の椿の姿だった。




真面目で従順に尽くす相手。
そんな椿を、自分は愛しく思っていた。



実験台にしたら、椿は念願の実験成功の「完成品」であり、人目に触れることのできない相手は自然と自分のものになる。




相手を呼び出すことなんて簡単だった。



―準備は、整った。












「椿」





金属の擦れる音と同時に、名前を呼ぶと相手は小さく身を揺らす。


黒い髪の隙間から同色の耳が顔を出し、静かに呼吸をするようにピクピクと震えていた。


その耳に触れるとふわりと柔らかい感触と共に温もりを感じる。
それは人間のものではなく、紛れもない猫の耳。




実験は、成功したのだ。





あれから3カ月が経ち、自分の借りたアパートの一室に椿は住んでいる。


肌には白いワイシャツ一枚しか羽織っておらず、尻からは耳と同じく黒い尻尾がすらりと伸びていた。
首には赤い首輪をつけていて、住んでいるというよりは飼っているという表現の方が適当かもしれない。


首輪から伸びた銀色のチェーンはベッドの脚に括りつけてあった。







「昼、何食べたい?」




「…………」





声をかけるが、椿は俯いたまま何も答えようとはしなかった。
何だか今日は妙に元気がない。


仕方なくベッドの脚に巻きついてあるチェーンを外し、リビングに連れて行こうとしたその時、椿は一瞬の解放の隙を見て自分の横を擦り抜け、玄関へと駆けて行った。






「おい、椿!!」




首輪のチェーンを掴む間もなく、一目散に駆ける相手。



追いかけるよりも先に、足がもつれた相手は玄関先で激しい音を立てて顔から床に突っ込むようにして転倒した。


速さがあったため、その勢いで床に顔を擦っている。





「っ、痛ッ…」




「大丈夫か?」




「あの…」




「顔から血ィ出てるぞ。今消毒する」





倒れている椿に声をかけると、急いで起き上がり怯えた表情でこちらを振り向く。

その顔にはいくつかの擦り傷ができていた。



優しく声をかけると表情が少しだけ和らぐ。
薄っすらと血が垂れている頬に絆創膏やガーゼを貼り付けてやったあと、首輪と繋がるチェーンをグッと握りしめた。







「なあ、」




「…安形さ」




「お前逃げようとしたよな?」





笑いながら問うと、椿の瞳が一気に恐怖の色を纏って揺れる。



何も言葉を返せない様子の相手に苛立ちが沸き、チェーンを思い切り引っ張ると半ば引き摺るようにして部屋へと連れ戻った。








逃げないようにベッドの脚に再びチェーンをきつく括り、細い手首に銀色の手錠をかけて床に膝立ちにさせる。






「安形さん、安形さん…!」




「何?」




「ごめんなさっ…い…」




「今更遅ェよ。言うこと聞かねえ子にはお仕置きだ」





椿が逃げようとしたのは何も初めてのことではない。


その姿で逃げられないことなどわかりきっているのに、懲りずに相手は逃げようとする。
どうしてかだなんてその理由を尋ねたことはなかった。





ジーパンからベルトを抜き取ると、椿に向けて振り翳す。




「ッ!あ!」




身体に軽くそのベルトを打ち付けただけでも、白い肌には簡単に痕が浮かんだ。
パシン、パシンと室内に乾いた音が響く。


何度か行為を繰り返すと、太腿や腕に赤い蚯蚓脹れのような細い痕が付いた。





「もう逃げねえか?」




「はい…っ」





震える声で返事をする相手は完全に自分を恐がっていた。



別にそんな顔をさせたいわけじゃない。
ただ、逃げずにそばにいてくれたら良いのだ。







やったのは自分のはずなのに、白い肌が変色して赤くなっているのが何だか痛々しく思えた。




鎖骨に顔を埋めると、今度は噛みつく様にしてそこに吸い付き、痕を残す。





「んっ…」




何度も身体に吸い付き、床に座る相手の両足を開くと太腿にも順に痕をつけていく。
足の付け根のギリギリ辺りに吸い付くと椿の身体が反応した。





「あっ…そんなところにも…!」




「誰も見ないんだから良いだろ?」




「ひ、あ!」




ワイシャツしか羽織っていない為、足を開いて剥き出しになっている蕾にも唇を寄せる。
わざと集中的にそこに吸い付いたり息をかけるとビクビクと身体が揺れて、猫耳も同時に震えた。
舌を出して下からゆっくり舐め上げると相手の腰が焦れったそうに僅かに前に出る。





「やぁ、あっ…!んう…」




舌を押し挿れるようにして舐め回すと甘い声で鳴きながら尻尾がゆらゆらと揺れているのが視界に入った。



後ろにある尻尾を掴むと、相手の股の下を潜らせ前へと持ってくる。
生温かい尻尾は肌触りが良く脈打っていた。




そのまま相手の尻尾を相手の自身に擦り付けるようにして動かす。






「あっ…何…い、やぁっ…!」




「尻尾も性感帯だっけ?両方気持ち良いか?」




「ふ、にゃっ…ぁ…あ、ン!」




手とは違う、毛の感触で自身を責めると相手は快感の色を含んだ声をひっきりなしに上げた。


尻尾も性感帯のようで、触るだけでもよく反応を示す。



そんな敏感なもの同士を容赦なく擦りつけると、先端から白い欲が零れ、黒い毛に白が絡まり付き、やけに卑猥に見えた。





「あっ、もう…あぁ…!安形さ、んっ…」




させているのは自分だが、自らの自身と尻尾を擦り合わせて喘ぐ相手の行為は自慰に過ぎない。


それでも自分の名前を呼びながら、自身から欲を垂らして無意識に腰を振る相手は獣的に見えた。



白濁で塗れた黒い尻尾はべたついている。





「あっ!あぁ…!に、ゃっ…あ!」




「イけよ」




「ひゃ、っ…あぁぁ、あっ…!!」




勢いよく飛び散った欲が、自分の手と相手の尻尾に付着してどろりとそこを白く汚した。

相手は満足したように短く息を吐きながら頬を赤らめる。







「…椿、本番はこれからだ」







ワイシャツが肩を滑り落ちて開いたボタンの隙間から覗く、白い肌上の痕が胸を満たす。






念願の完成品、恋心を抱く相手。






―愛してやまない。










快感の余韻に浸る暇も与えず、首輪に繋がるチェーンを引っ張るようにして上を向かせると、その瞳に浮かぶ涙ごと飲み込むように瞼に口づけた。








FIN





挿絵(携帯PC







Hell yeah!」の青崎さんに書いて頂き、そして描かせて頂きました!!
最初はただの「つばにゃんに首輪!」と言う欲望だけだったはずなんですが、ちょっと私が先に暴走してしまい傷だらけのつばにゃんになりました。

それに合わせてお話を添えて下さったのですが、なんと言う…!!
なんと言う萌えでしょうか!!
どうしましょう、恐縮過ぎて動悸が半端無いです。
冒頭から安形が黒形さんでハァハァです。
この椿はもう絶対に苦られないんだろうな…と思うと安形の狂気にそわっとしつつ、でも歪んでいても一途過ぎる愛情に何かこう、ブワァっとこみ上げる萌え的な何か。
そして、尻尾。
猫化と言ったらコレですよね、尻尾プレイ!!
尻尾を突っ込むのかと思いきや、そうではなく……青崎さんがどこを描写したかったのかよく分かりますね☆
安形もまだ余裕があって、つばにゃんの可哀相さが引き立ってて可哀相な椿萌えの私としましては実に……ごっつぁんです…////
青崎さん、エンドレスMOEなお話をどうも有難うございました!!



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