04


目を覚ますと、そこは知らない場所だった。
起き上がって見渡すと、靖友くんと目があった。
そうか、私は―――。

「目ェ覚めたァ?」
「う、うん…」
「一応拭いたけどォ…風呂、入るゥ?」
「入る…」

そういうと、靖友くんはお風呂場へ向かった。
私は昨日、靖友くんに抱かれたんだ。
夢じゃなかった。
その証拠に、私の体にはあちこちに赤い跡が残され、体も少し痛む。
そっとめくると、少しだけ血痕があった。
布団を汚してしまったらしい。
立ち上がろうとすると、体に痛みが走る。

「風呂、貯めてるからちょっと待ってナ」
「や、靖友くん!ごめんなさい、私布団を…!」
「布団?アァー、いいヨ。動きすぎた俺のせいだしィ。 それより体、大丈夫ゥ?」
「…痛い、です…」
「だろーナ。今日はうちでゆっくりしてけばァ?俺も休みだしィ。」
「いや、お風呂終わったら帰る…」
「警戒してんノ?」
「…」

何も答えられなかった。
抱かれたことが嫌だったわけじゃない。
でもどうして嫌じゃないのかわからない。
昨日あったばかりの人なのに。
怖いとすら感じてたはずなのに。
自分がよくわからない。

「ま、いいけどォ。昨日はアンガトネェ。」

昨日はあんなに近くに座ったのに、今はすごく遠い場所に座った靖友くんをみて、チクリと心が痛む。
どこかで寂しいと思う自分がいる。
私は一体、どうしちゃったんだろう。


お風呂を終えると、少し体が楽になってきた。
温まったおかげか、心も落ち着いた。

「雛美チャン、もぉ帰んのォ?」
「うん、お風呂ありがとう。お邪魔しました。」
「…送ってこーかぁ?腰、まだ痛ぇんダロ?」
「大丈夫、家そんなに遠くないし…。」
「…また警戒してんのォ?」
「ううん、悪いから。大丈夫だよ」
「昨日はアンガトネェ。またおいでヨ」

そう言って見送ってくれた靖友くんの目が少し淋しそうだったのは気のせいだろうか。
私は気づかないふりをして、家に帰った。



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