03


お世辞にもきれいとは言えない、散らかった部屋。
荒北くんは部屋の物を拾いながら私を通してくれた。

「適当に座っていいヨ。」

ベッドに低めのテーブル、あと自転車…?
部屋に自転車?と思いつつ眺めていると、荒北くんはベプシ2本持って戻ってきた。
それを机にそっと置くと、私の隣に腰掛ける。
隣…?他にも席はあいてマスヨ…と思っていたら、ふいに匂いをかがれた。

「ひゃぁ!」
「迷子チャン、すっげー良い匂いすんのな」
「きょ、今日ちょっと暑かったから汗臭いよ…」

そういって身をよじると、荒北くんは間を詰めてきた。
ヤバい、近い。息がかかる!恥ずかしい!

「臭くねーヨ。」
「あ、荒北くんっ!近いよ…!」
「迷子チャン、彼氏いんのォ?」

私の話は聞こえてないのだろうか。
荒北くんはクンクンと耳元で鼻を鳴らしている。

「い、いないよ…ていうかくすぐったいからぁ…ふっ…」
「でも彼氏いたコトはあんでしょォ?」
「ある…けど…それが何…?」
「年上でー、彼氏いたことあンなら、どういう状況かわかんダロ?」
「わ、わかんな…んっ…くすぐったいってば…」
「ヤラせてよ」
「…!!」
「助けた礼に何でもしてくれんダロォ?」

脅しているような口調なのに、何故か目は優しくて。
触れる手も、何故か怖くはなくて。
私は荒北くんを拒むことが出来なかった。



荒北くんは犬のように、私の体の匂いをあちこち嗅ぎながら愛撫していく。
最初は耳、おでこ、唇…。薄い唇から短めの吐息が漏れるたびに、私は身をよじる。

「あら…きたくん…」
「ナァニ、迷子チャン」
「恥ず…かしいから…電気…」
「初めてじゃあるまいしィ」
「は、初めてだよ!!」
「…ハァ?」

荒北くんは手を止め、ぽかんとした顔で私を見ていた。
こんなこと、目を見て言いたくないのに…。

「は、初めてなの!」
「彼氏いたんダロ?」
「いたけど…」
「してねーのォ?」
「…」
「…マジかヨ。」

荒北くんはガシガシと頭をかいて、ため息をつく。
乱れた服を直そうとしていたら、バスタオルが降ってきた。

「電気、消してやっから。汚したくなきゃ服脱いどけヨ」

そういうと荒北くんも服を脱いでボクサー一枚になった。
あぁ、なんて綺麗な体をしているんだろうと思っていると、電気が消える。
慌てて服を脱ぐと、抱きしめられた。

「悪ィけど、止めらんねー。」

抱き上げられ、ベッドに寝かされる。
覆いかぶさる荒北くんの顔が見えずに、怖いと思ってしまった。
電気を消してなんて、言うんじゃなかった。
荒北くんはリップ音を響かせながら、私の首元の匂いを嗅ぐ。

「やっぱ雛美、すっげー良い匂いする」
「…んふぅっ…」

生暖かい何かが当たった、と思った。
それが舌だと気づくころには、鎖骨をなめられ、ブラを外されていた。
ゾクゾクするような、ジンジンするような、不思議な感覚にとらわれていく。
くすぐったかったはずなのに、その感覚は今はもうない。
胸を隠したくて組んでいた手を、そっと外される。

「や、やだっ…荒北くっ…」
「名前で呼べヨ」
「やす…ともくん…」
「オゥ。」
「やだ…」
「マジで嫌なら抵抗しろヨ。俺そんな強く抑えてねぇダロ」

ただ、恥ずかしい。そういうと靖友くんにキスされた。
舌が入ってきて、歯列を舐められる。恥ずかしさのあまり顔を背けた。
すると靖友くんは頬に軽く口づけて、やわやわと胸を触り始めた。

「でけぇな…」

私のコンプレックスでもある胸は、靖友くんの手には収まらない。
靖友くんの言葉が、息遣いが、手が。すべてが恥ずかしくておかしくなりそうだ。
触れられたところに熱が灯る。

「んっ…ふっ…やぁ…」
「あんま可愛い声出すんじゃねーヨ。我慢できなくなンダロ。」

またキスされる。舌を舐められて頭が痺れたみたいになってきた。
胸の先端をいじられ、体が震える。だんだん、何も考えられなくなる。
雛美、雛美、と小さく名前を呼ばれて、あちこちにキスされて。
初めての感覚に意識が飛びそうになる。

「や…ともく…あっ…」
「キモチイイ?」
「んっ…うぁ…ひぅ…」

気持ちいいというより、全身が痺れる。返事なんて出来るわけない。
頭の中がトロトロになってるみたい。
靖友くんの息遣いにすら感じてしまう。
ショーツを下げられる感覚に、現実に戻された。
襲ってくる恐怖に、目が覚める。
待ち構えているであろう痛みに、体がこわばった。

「怖ぇ?」
「…うん」
「嫌じゃねーノ?」
「いや…ではない…」
「痛かったら言えヨ。」

そういって座らされ、抱きしめられた。
靖友くんの体温が強張りをほぐしていく。
割れ目をなぞられ、また力が入ると、頭を少し乱暴に撫でられた。
何かが入ってくる異物感に、体が震える。

「やぁ…」
「痛ぇノ…?」
「ううんっ…なんかくるし…」
「悪ぃ、俺もあんま余裕ねーから…」

靖友くんの指が、奥まで入ってきた。
同時に、割れ目の先端を弄られる。
何かに触れた瞬間、体が跳ねた。
感じたことのない快感と刺激に頭が真っ白になる。

「あっ…やっん!やすと…く…それ…っ変になっ…」
「ん…俺も変になりそォ…」
「んふっ…やぁ…」
「中、トロトロだネ。…悪ィ、もう我慢できねーわ」

指を引き抜かれ、体が離れていく。
離れた体が寂しくて手を伸ばしたら、ちゃんといるヨ。と手を繋いでくれた。
何かごそごそしているみたいだけど、頭がくらくらして何も考えられない。
手から伝わる体温が、そこにいると伝えてくれるけど、それでもなかなかそばに来てくれない。
もどかしくて、あの体温が欲しくて。
両手を伸ばしたら、靖友くんに届いた。
雛美、と小さく呼びながら抱きしめられた。
そのままゆっくりと押し倒された。
靖友くんのソレを当てがわれたと思った時、首筋に痛みが走る。
それが噛まれているのだと気づいたときには、ソレは中に入ってきていた。
不思議と、首以外に痛みはない。
異物感と圧迫感で、声が出る。

「やぁぁっ…くふっ…」
「痛ぇ?」

優しく囁かれたけど、返事なんて余裕がない。
ただ首を横にふると、靖友くんはソレをまた奥へと進めた。
ゆっくりと、首や肩に時々噛みつかれた。
全部入ったころにやっと痛みがきて、靖友くんにしがみつく。
それを感じたのか、靖友くんは動きを止めた。
なんとか肩で息をする。耐えられない痛みではなかったけど、お腹が苦しい。
頭をなでながら何度もキスされた。
どれくらいそうしていただろう。
靖友くんが大きく息を吐いたと思ったら、体がふっと離れていった。

「悪ィ、もう我慢できねェ…っ」

ゆっくりと腰を動かして、クチュクチュと卑猥な音が部屋に響く。
その音に興奮したのか、私はだんだんと痛みではない何かを感じていた。
だんだん激しくなっていく動き。靖友くんの荒い息遣いと、卑猥な音。
どうしても声が漏れてしまう。

「あっ…あっ…へんっ…変になるからぁ…」
「気持ちいいノ?…俺も気持ちいいヨ」
「やぁっ…んっんっ…」
「ちょ…締めんなって…」

耳を噛まれ、首を噛まれ、肩を噛まれ…
噛まれるたびに、体がゾクゾクする。
一際強く肩を噛まれ、腰を大きく打ちつけられる。
もう息なんて出来ない。
出すぞ、そう聞こえた気がしたけど、私はそのまま意識を手放した。


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