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目が覚めると、太陽の光で部屋が少し明るくなっていた。
手を伸ばすと、いたはずの雛美がいない。
起き上がってみても、見当たらない。
顔をあげると、ドアの向こうから光が差し込んでいた。
リビングか。
行くか、呼ぶか、どうすっかな。
そう思っていると、ドアが開いてその眩しさに思わず俯いた。
それでも目を慣らしてドアの方を見ると雛美が突っ立っている。
早くこっちこいよ。
手招きすると、控え目にゆっくりと近づいてきたからそのまま抱きしめた。
ふわりと、良い匂いがする。

「勝手にどっか行ってんじゃねェ。」
「うん、ごめんね。」

風呂にでも入ったのか、シャンプーの匂いが鼻を刺激する。
体中からふわふわとした匂いが漂っていて気持ちいい。
このまま抱きしめてたらそのまま寝ちまいそうだ。
俺はそっと腕を放した。

「おはよう。」
「ん、はよォ。」

嬉しそうににっこりと笑う雛美が可愛くて、そっと顔を近づけた。
恥ずかしそうにしながらも、そっと目を閉じた雛美に軽く口づけた。
柔らかいその感触に、興奮して下半身が疼いた。
それを隠すように、雛美を連れてリビングに戻った。






シャワーを浴びて部屋に戻ると朝飯が並んでいた。
寝室では暗くて見えなかったが、首や鎖骨に昨日自分がつけた痕が残っている。
そのことに少し優越感を覚えた。
雛美は俺のもんだ。
一緒にメシくって、コーヒー飲みながら雛美の話を聞いて、穏やかな時間が流れた。
あまり話すのが上手くないのか、時々脱線する雛美の話は面白かった。
にこにこ笑いながら話してくれるのが嬉しかった。
でもそんな時間はあっという間に過ぎて行く。
ふと、話の途中で雛美が俯いて止まった。
どうしたのかと待ってみたが、一向に顔を上げようとしない。

「雛美チャン?」
「え、あ、何?」
「考え事ォ?」

顔を覗き込むと、少し困った顔をしていた。
でもその顔は、俺を見てクスリと笑った。

「ううん、大丈夫。ごめんね、ちょっと仕事のこと考えてた。」
「イイケドォ……無理すんなよ。」

軽く頭を撫でてやった。
部活行くのがめんどくせぇ。
それでも行かないわけにはいかない。
ため息をつくと、雛美の手が俺の服を掴んだ。
心配そうなその顔を見て思わず抱きしめた。

「わっ、どうしたの?」
「……また来っからぁ。」
「……うん。」

好きだ、なんてまだ顔見て言えねぇけど。
ビアンキと鞄を持って玄関に向かうと、後ろからパタパタと足音が聞こえた。
振り向くと、雛美が見送りにきてくれたらしい。

「また連絡するからァ。」
「うん、私もする。」

靴を履くと後ろから小さく聞こえた”いってらっしゃい”に頬が緩んだ。
俺は”行ってきます”、そう言って家を出た。



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