13







靖友くんに手を引かれて寝室にいくと、ベッドに座らされた。

「ちょっと待ってろ。」

そう言って部屋を出て行ってしまった靖友くんは、何かを持って戻ってくる。
それが避妊具だと気づいた時、顔から火が出るほど熱くなった。
何をするのかはわかっていたつもりだった。
それでも初めて目の当りにするそれはやけに生々しくて、急に恥ずかしくなる。
靖友くんはそれをベッドサイドに置くと、私の前に立った。
そっと顎に触れて、顔を持ち上げられた。

「やめんなら今だけどォ?」

そう言いつつも、靖友くんの目は優しい。
今なら”嫌だ”と言えば本当にやめてくれるだろう。
それでも私の中に、答えは一つしかない。

「靖友くんとなら、したいよ。」

ハッと小さく笑って、キスしてくれた。
軽く触れるだけのものから、ねっとりと絡み合うようなキスをする。
靖友くんの唾液を注ぎ込まれるようなそれは、激しいリップ音と共に私の下半身を疼かせた。
私の前に立膝ついている靖友くんの首に手を回し、自分の方へそっと引き寄せる。
すると私の横に置かれていた手は、迷いなく背中に回ってきた。
触れられているところから熱く、そしてそれが疼きに変わっていく。
そっとベッドに押し倒されて、靖友くんが覆いかぶさってきた。
髪が鼻をかすめ、靖友くんの匂いが突き抜ける。
ふっとあの夜のことを思い出して、下半身に熱が灯った。

「んんっ。」

ムズムズして身を捩ると、靖友くんが私の足の間に体をすべり込ませてきた。
熱く短い吐息が首をかすめたかと思うと、生暖かい舌で舐め上げられて体が震えた。

「ふぁ、んっ。」
「すっげー濃い匂い……おかしくなりそォ。」
「ふぇっ…?」

首や耳を甘噛みしながらそうささやかれても、思考回路はもう機能していない。
ただそこにいることを確かめるように靖友くんにしがみついて、もたらされる快感に身を任せた。
シャツの中に遠慮がちに入ってきた手は、胸に触れた瞬間荒々しさを増してむにむにと弄びはじめた。
先端に触れそうで触れないその指がもどかしくて体を捩るのに、靖友くんはそこには触れようとはしない。

「や、やすと、もくん!」
「ナァニ?」
「ちゃ、ちゃんと前みたいに……触って?」

一瞬目を見開いた靖友くんは、ニヤリと口角を上げる。
とても意地悪そうなその顔に、ゾクゾクした。
シャツを乱暴にめくりあげられ、先端に靖友くんが吸い付いた。

「ひぁっ。」

反対の先端も指の腹で押しつぶされるようにいじられて、腰が浮いてしまう。
頭にモヤがかかるようなその快感は私を私じゃなくしていくようだ。
私が身を捩る度に靖友くんのソレが当たっていて、その感触に酷く興奮した。
触れられるたび、舐められるたびに腰が動いてこすり付けてしまう。
それに気づいた靖友くんは、顔を上げて私を見るとそっと下半身を撫で上げた。

「んあぁっ。」
「ハッ、雛美チャンやらしー。」
「や、ちがっ。」
「ここ擦りつけといて何言ってンだよ。」
「やぁぁっ。」

花芯付近をふにふにと指で刺激されて体が跳ねる。
明るい所で、こんな恥ずかしい姿を凝視されているというのに。
靖友くんは私を見つめたままそこばかりを執拗に攻めてくる。
そのくせ顔を背けることは許されず、時折キスが降ってきた。
ちゅく、と粘着質な音をさせたキスは私をさらに興奮させて頭が痺れる。

「気持ちイイ?」
「んふっ……う、ん……きもち、はぁっんっ。」

靖友くんは薄らと頬をピンクに染め、そっとおでこにキスをした。
そのまま首元に顔を埋めたかと思うと、私のジーンズをショーツと一緒に太ももまで降ろした。
その中途半端な姿がやけに恥ずかしくて足を閉じようにも、靖友くんの体でそれを阻まれている。
とっさに手で隠すと、両手を掴まれた。

「このままもエロくていいけどォ……。」
「や、やだ!恥ずかしっ。」
「最初だしな。」
「え?……うぁっ。」

そう言うと手を放し、私のジーンズごとショーツを投げ捨てた。
そしてそっと、割れ目をなぞったかと思えば指がつぷりと音を立てて入ってくる。
待ちわびた強い刺激に、ゾクゾクとして体が震えた。

「ひんっ……あぅ、あっ。」
「すっげぇ濡れてんだけどォ。」

靖友くんがニヤリと笑った。
指が増やされ、少し圧迫感が増して息苦しさを感じた。
それに気づいたのか靖友くんはそっとキスをして、首元に吸い付いた。
ちくりと痛むそこに意識が集中して、中に入っている指の感覚が少し薄れる。
それがわかったのか、ゆっくりと中を押し広げるかのように動かされた指に声が漏れた。

「あぁっ、それ、んんっあっ。」
「ここォ?」
「やぁっ、だ、んんっ……。」

一点だけを集中して擦りあげられて、腰が浮く。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響いている。
声を我慢しようと噛みしめた唇は、靖友くんのキスによって解かれていく。
ぬるりと滑り込んできた舌を、腰を浮かした時に思わず噛んでしまった。

「いってェ……。」
「ご、ごめんっ。大丈夫?」

靖友くんが体を離して、指も抜いてしまった。
どれくらいの強さで噛んだか自分でもわからない。
口元を抑えている靖友くんに近寄りそっと触れると、うなじに伸びてきた手にしっかりとつかまれてしまった。
頭を固定されたまま激しいキスをされて、時折噛まれる舌がくすぐったい。
ちゅ、っと舌を吸われたかと思えば、体が離されて靖友くんは立ち上がった。
徐に服やスウェットを脱ぎ捨てて、ベッドサイドに手を伸ばした。

「こっち見んなよ。」

そう言って背を向けられて、少しさみしさが湧き出た。
それでも言われたとおり、靖友くんに背を向けて座りなおすと後ろから抱き着かれた。

「うあっ。」
「背中向けろとは言ってねェ。」

少し拗ねたように唇を尖らせる靖友くんがとても可愛くて、私はつい笑ってしまった。
それに機嫌を損ねたのか、靖友くんは少し乱暴に私を押し倒した。

「ヤダつっても止めてやんねェ。」

そういうくせに、どこか優しい目をしているから怖さなんて感じない。
靖友くんにやだなんて、言わないよ。
ゆっくり私の両足を持ち上げると、ソレを私にあてがった。
そっとキスをして、首に噛みつかれたかと思うとゆっくりと押し広げるようにソレは入ってくる。
痛みはないけど、圧迫感で少し息が詰まる。
小さく息をする私の首を、靖友くんはさらに強く噛みついた。

「いあっ。」

痛みとは違う痺れに声が漏れた。
噛みながら強く吸われたそこはジンジンと痺れていて、少しヒリヒリもする。
それでもお構いなしに、靖友くんは今度は肩に噛みついた。

「くっ……うぅ……。」

コリ、と鎖骨に歯が当たって体が跳ねた。
その瞬間を狙ったかのように、奥へと入ってきた。
靖友くんにしがみついたまま肩で息をしていると、耳を甘噛みしながら花芯に触れられた。
ビクビクと体が動いて、靖友くんはさらに奥へと押し込んでくる。
体重をかけるかのようにぐっと押し込まれると、靖友くんがふーっと長い息を吐いた。

「雛美、マジ締めすぎっ……きっつ……。」
「ご、ごめんね?」

顔をしかめている靖友くんは少し笑っていて、どうしていいかわからない。
とりあえず謝ったけど、”バァカ”と言って軽くキスされた。
ゆっくりと、小刻みに出し入れされるたびに卑猥な音が部屋に響く。
圧迫感にも少し慣れ、息が楽に出来るようになった頃靖友くんに抱きしめられた。
靖友くんの汗の匂いがして、それに下半身が疼いた。

「ハッ……悪ィ、もう我慢できねェからァ……。」

動くぞ、そう囁いて靖友くんは起き上がって私の腰を掴んだ。
一気に引き抜かれたかと思えば勢いよく突き刺されるソレに声が我慢できない。

「はっ、あっ。んんっ、あんっ、あっ。」
「雛美っ……」

息苦しそうに名前を呼ばれて、靖友くんの興奮が伝わるようだ。
痛みも、圧迫感もなくただ痺れるような気持ち良さだけが体を満たしていく。
もう何も考えられない、ただ今繋がっていることだけが私を支配していく。

「や、ともくっ……んんっ、あっ、も、だめっ。」
「俺もっ……。」

がりっと音がしそうなほど強く肩に噛みつかれて抱きしめられた。
体がビクビクと痙攣したように動いていて、まるで自分のものじゃないみたいだ。
そっと顔を上げた靖友くんと目が合って、にこりと笑う。
靖友くんがそっと頭を撫でてくれると、急に強い睡魔に襲われてしまった。
私はその幸せな気分のまま、ゆっくりと瞳を閉じた。






←prev/目次/next→
story.top
Top




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -