03



夜にかかってきた電話で、少しがっかりする。
遊びに来るのではなく、箱学と合同練習をするらしい。

「雛美」
「…」
「怒っているのか」
「怒ってはない、けど…」

寂しい。

「合同練習と言っても参加するのは俺だけだ。雛美もたまには俺の練習を見に来ないか。」
「ヤダ」
「どうしても嫌か」
「…真ちゃんがクレープ奢ってくれたら考える。」
「わかった、奢ってやる。だから機嫌を直せ。」
「練習終わったら遊んでくれる?」
「あぁ。」
「クレープ、絶対だからね!じゃぁ、また明後日にね。」

おやすみ、そう言って電話を切った。
合宿は全部で3日。初日は移動含めたお休みだと言う。
明後日が楽しみでたまらなかった。



合宿当日、真ちゃんを駅まで迎えに行くと何やら騒がしい。
四人組の男の子たちが言い争っているようだった。
巻き込まれないように、そっと距離を置く。
今日の服、変じゃないかな。
髪も服も頑張って、おめかしした。
どこに行こうかな。
そう思って外を眺めていると、後ろから雛美、と呼ばれた。
真ちゃんの声だ!
振り返って抱きついた。
…あれ?真ちゃん、痩せた?
そっと顔を上げると、そこにいたのは真ちゃんじゃない。
さっき言い争ってた四人組の一人だった。

「てめ、何しやがンだヨ!」
「ヒッ…」

慌てて離れると、その後ろから真ちゃんが呆れた顔をしている。
どういうことなの…。
よくよく見ると、私はさっきの四人組と真ちゃんに囲まれるような形になっていた。

「雛美、あれほど相手を確認しろと…」
「ごっ、ごめんなさい…」
「すまない、荒北。」
「チッ…」
「キミが雛美ちゃんか!俺はとうど」
「始めまして雛美ちゃん、よろしく」

2人はいきなり喋り始めるし、1人は表情変わらないし、さっき抱きついてしまった人はとても怖い。
私は思わず真ちゃんの後ろに隠れた。

「雛美。」
「…」
「すまない、人見知りでな」
「構わん」
「とりあえずどっか入ろうぜェ、福ちゃん」
「そうだな!そこでゆっくり話をしようじゃないか!」

話せずにいるとどんどん話が決まって行く。
あれ?真ちゃんとおでかけは――?


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