02


お父さんはいつになく頑固だったけど、真ちゃんのおかげでなんとか寮に入ることができた。
半端な時期の転校だからか、たまたまなのかは分からないが私は1人部屋を当てられた。
春休みに入ってすぐに引っ越したため、知らない人ばかりの寮は居心地がいいとはいいがたい。
私は真ちゃんに電話ばかりしていた。

「でね、その漫画でね」
「雛美」
「うん?なぁに、真ちゃん」
「最近、室内の話ばかりだがちゃんとやっているのか」
「うーん、知らない人ばっかりで何かヤダ。」

真ちゃんのため息が聞こえる。
学校に始まったらちゃんとする、そう言おうとすると少し怒ったような声が聞こえてきた。

「雛美、春休みだからと理由をつけてはいけない。周りの輪に入れずに苦労するのは、雛美自身だぞ。」

俺はそばにはいてやれないのだから、と話す真ちゃんの声がやけに冷たく感じた。

「…真ちゃんのバカ…」
「雛美、お前のためを」
「わかってるもん!ちゃんとしなきゃなのわかってるもん!でも怖いんだもん!真ちゃんにはわかんないよ!!」

いつも優しい真ちゃんに咎められたのが寂しくて、悲しくて、辛くて。
そのまま電話を切ってしまった。
涙がボロボロ溢れてくる。
寂しいよ、甘やかしてよ。
私は携帯を投げ捨てると、布団を頭からかぶった。



気まずくて、昨日から携帯は開いていない。
真ちゃんのことだから、きっと電話もメールもくれているだろう、けど…。
ちゃんと返せない気がして。
私はただ部屋で携帯を眺めていた。
すると、普段はならないメロディが鳴る。
ディスプレイを見ると、巻島祐介と書いてある。

「もしもし?祐介くん珍しいねぇ」
「お前、金城となんかあったっショ」
「…何でもないよぅ」
「嘘つくなっショ、昨日から金城ずっとあちこち連絡しまくって、何かおかしいショ」
「何もないってばー。」
「だったら何で金城の電話には出ないんだよ」
「それは…」
「とりあえず、メールくらいは見てやるショ」
「ぅー…わかったよぅ…」

じゃぁな、そう言って祐介くんとの通話は切れた。
改めて携帯の履歴を見ると、不在着信が8件、未読メールは6通。
いつもではあり得ない数で、その全てが真ちゃんからのものだった。
最初の3通は、謝罪と私を気遣う言葉ばかりだった。
残りの3通を見て、慌てて真ちゃんに電話した。

「もしも」
「真ちゃん!本当なの!?」
「やっと見てくれたのか」
「本当にきてくれるの?」
「あぁ」
「ありがとう!楽しみにしてるね!」
「すまない、部活中でな。また連絡する。」
「あ、ごめんなさい…またあとでね!」
「あぁ」

真ちゃんが会いに来てくれる。
しかも泊まりでだ。
私は真ちゃんの部活が終わるのが楽しみで仕方なかった。



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