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 きみの笑った顔/リルユウ




いつも、
笑顔を向けてくれた君がいた。

いつも、
笑顔にさせてくれたキミがいた。


君の笑顔が好きなんだと言って、笑うキミは、いつも、とても幸せそうだった。


「好きなんだ」
「君の笑顔に、救われた」
「ずっと、君には笑っていて欲しい」

なんて、言葉を並べたてるキミに、
「そう」
と、素っ気ない返事を返す。

好きだなんて、言われるのはキミにだけだから。好きだなんて感情を、知らないから。
返す言葉なんて分かるはずもない。
正直、キミの言う言葉は理解出来なかった。笑う意味も、本当は良く知らないし、わからない。

だから、そう、なんて素っ気ない返事しか言えない。

それでも、そんな返事にも、キミはとても嬉しそうな笑みを浮かべていた。


楽しいから笑う。
嬉しいから笑う。
好きだから笑う。

愛おしい君が笑っているから、
つい、笑みが零れてしまう。


笑う理由も意味も分からなかったけれど、
でも、笑うキミの顔を見るのは嫌いではなかった。

僕が笑えば、キミも笑う。
それは当たり前の出来事で、
キミの笑った顔を見ると、なぜか気持ちが楽になれたきがした。

だから、
バカみたいに幸せそうに笑うキミの顔が、僕も、好きだった。

僕に救われたとキミは言うけれど、
救われているのは、キミだけじゃない。

キミが居たから、僕はこうして今もここにいられる。最後まで、こうして、がんばってこれたんだ。

楽しいという感情も、キミが居なければきっと知らないままだったし、僕は笑う意味や理由も、知らなかった。今でも、笑うというものの仕組みは、よく分からない。
楽しいから笑うとか、なにが楽しいのかも良く知らないから。



でも、多分、
僕は楽しいからとかじゃなく、
ただ、


嬉しそうな顔をする。
そんなキミが見たくて、僕は笑っていたんじゃないだろうか。


「好きなんだ」
と言われるのは、嫌じゃない。
言われるたびに、キミが笑った顔を見るたびに、胸の中が暖かくなるようなそんな気がして、
キミといる空間を、心地よいとさえ思っていた。
よく分からないモヤモヤした気持ちや息苦しさも、キミの顔を見ている間は気にすることなく忘れられていた。

邪険にするのも、焦るキミが見たいから。
無茶を言うのも、困るキミが見たいから。
時間が経つにつれて、キミの全てを、知りたいと思うようになっている僕がいた。

顔を見るたびに、目を合わせるたびに、増していくそんな感情。

もっと、嬉しそうに笑うキミが見たい。


その感情が、なんなのか、それは最後まで分かることはなかったけれど、
多分、これが、キミの言う『好き』という感情だったんじゃ、って今になって思うことがある。

いや、思うんじゃなく、好きだったんじゃないかって、今なら分かるんだ。






だから、
今更かもしれないけれど、
今更だからこそ、


もし、また巡り会えることがあったできたなら、あったなら、
その時は、


「僕も」

って、返してあげるのも、いいのかもしれないね。







キミから笑顔を奪った僕が、言えることじゃないけれど、
そんな奇跡が、起きることがあったなら、

今度はちゃんと伝えたいから。


好きだったよ。
ありがとう。
さようなら。

って。


素直な気持ちを、キミに。



僕を好きになってくれて、ありがとう。

今も、好きでいてくれて、ありがとう。



「僕も、キミのこと、嫌いじゃなかったよ」


「さようなら、リルト」



大好き。
バイバイ。






僕も、キミの笑った顔が好きなんだ。
だから、もう、泣かないで。

キミも、笑ってよ。







────あとがき
メモからの移行ユウ語り。
ナブナ様のアイラの「君だって笑ってよ」って歌詞聞いたら書きたくなって殴り書いたやつです。実は相思相愛でしたっていう話し。笑って欲しいのは僕もだよ的な。
自分で設定作っといてリルユウが悲恋過ぎて辛い!来世では幸せになってくれ..!





─────おまけ
「好きなんだ、君の..笑った顔が」
「そう......僕も、嫌いじゃないよ」
「え?」
「そういう間抜けな顔も含めて、バカっぽい君の笑った顔、嫌いじゃない」
「それほぼバカじゃん!?で、でもユウにそう言ってもらえるなんて......嬉し過ぎて死にそうだよ..」
「僕がわざわざ言ってあげたんだから、聞いたのに死んだりしたら許さないからね。ずっと僕のそばにいるんでしょ、世界を救うまでは、ちゃんとそばに居てよ」
「.....................嫁が可愛過ぎて死んだ」


「リア充爆発しろ」←一部始終を見ていた周りの皆


─────
3にて会わせてあげたらリア充された。
リルトは嫁が可愛過ぎて爆発5秒前です。


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