ガールズトーク


「だからね、桃井もいっぺん引いてみなよ。押してだめなら引いてみろだよ」

「太木数子も言ってたから間違いない」と付け加えながらポテチの袋を空けた。隣の黄瀬に「ん、」と渡すと「今減量中なんス」と断られた。女か!

「うん…。でもテツ君て見るからに私のこと興味なさそうでしょ?私が引いたら、本当にそこで終わっちゃいそう」

桃井がうっすらと目に涙をためた。泣かないで!と桃井を思わず抱きしめる。おっぱいでかー!

「はー、こんな可愛い子を悩ませるなんて私は黒子が憎いわ」
「テツ君の悪口言わないで!」
「はいはい」

とまあ、こんな風に桃井は黒子に首っ丈なんです。



連日の雨も上がり、久しぶりに太陽が顔を覗かせる。そんな爽やかな初夏の日の放課後、私、桃井、黄瀬の三人は恒例のガールズトークに花を咲かせていた。1年のとき同じクラスだったこともあり、今もこうして時々集まっては、きゃいきゃい近況報告をする仲なのだ。


「黄瀬は最近どうなの?」
「今はバスケに夢中で女の子たちと遊んでる暇ないっスね」

でも前より断然楽しいっスよ!と黄瀬がニッと笑った。その笑顔に安心する。

黄瀬には、何をしていてもどこか冷めたようなところがあった。そんな彼を私は密かに心配していたのだけど、もうその必要はなさそうだった。

「まなっちはどうなんス?」
「んー?まあ順調だよ」
「どこまでいったんス?赤司っち全然教えてくれないんスよー」
「…赤司が言わないなら私も言わないもん」

「あれ、顔赤いー!」と桃井にほっぺたぷにぷにされる。黄瀬もニヤニヤしてる。やめてくれ!私こういうの苦手なんだよ。

「まなっちは赤司っちの話するときだけ女の子らしくなるっスね」
「んふふ、まなの弱点は赤司君〜」
「そんなことないもん!」

3人でじゃれあっていると私のケータイがなった。メールを開くと赤司からで、[今終わった。昇降口で待ってる]とタイトルの欄に用件だけ書いてあった。

「私もう行かなきゃ」
「赤司っち?」
「うん!じゃね!」

桃井と黄瀬に手を降って、手ぐしで髪の毛を梳いて、私は昇降口へ走る、走る。



「まなっちて赤司っちの前だけあんな顔してるんスか」
「ベタぼれだよね」
「なんかずるいなー赤司っち」
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