あなたのハートにゼロ距離射撃!
たたた、たたた。
当てもなく廊下を走る。
初めて赤司と緑間以外にお兄ちゃんのこと話した。
たたた、たたた。
何でだろ、誰にも話すつもりなんてなかったのに。
とりあえずトイレで顔を洗おうと校内を走っていると、ちょうど向こうに赤司とそのおっかけ集団が目に入った。むー!お前ら放課後まで赤司につきまとってんのか!しかも先程のあの子までいる!
たたた、たたた。
いつもなら方向転換して一人で沈む所だけど、なぜだか今は何でも出来ちゃう気がするんだ。
きっと青峰のおかげだ。青峰は馬鹿だけど、不器用に真っ直ぐぶつかってくる。私を前へと押し出してくれる。
あの子に伝えたいこともあるし、ちょうどいい。
向かう先は、赤司のところ。
先程のあの子が向かってくる私に気付いたようだった。何か言ってるみたいだけど無視。私は、赤司に用があるの。
「赤司っ!」
「まな?…どうしたんだその顔?!」
赤司の驚いたような顔が目に入った。そうだった。私は今、泣きはらして、腫れぼったい、不細工な顔をしてたんだった。愛しの人の前でこんな顔を晒してしまうとは乙女として一生の不覚である。
ぼふん!
とりあえず赤司に抱きついた。
赤司は何だかんだしっかりと抱きとめてくれた。嬉しいなあ。
おっかけ集団から悲鳴が沸いた。(ごめんなさいね)
ふふん、と赤司のネクタイをくいっと引っ張った。
「ねえ赤司、聞きたいことがあるの」
赤司は大体何が起きているのか悟ったようだった。そういうことか、とおっかけ集団と私を見比べた後、「何だ?」と優しい目で私を見つめてくれた。
「赤司はこれからも私といるつもり?」
いつか赤司が私に言った言葉。赤司も気づいたらしい。少し笑った後、「もちろん」と頷いてくれた。それから耳元で一言囁かれが、これはおっかけ集団には聞かせてあげない。
「これからも依存してもいい?」
「どうぞ。お好きなだけ」
赤司が手を差し出した。それを取って、再び廊下を駆け出した!
"だって僕達、結婚するんだろう?"
ごめんなさいね、赤司は私のものです。
そこんとこ、ちゃんと伝わったかな?
一時間後、私は冷静になった。
「どうしてあんなことしちゃったんだろう。恥ずかしすぎる。死にたい。でも死んだら赤司と結婚できない。明日から学校どうしよう。恥ずかしすぎて廊下歩けない。うわーうわーうわー。ねえ赤司、いつまでも笑ってないで解決策をお願いします」
「くくく!ははは!」
「もう!」