君の前だと私はただの単細胞みたいになっちゃうの


「担任にまなの成績を何とかしてくれと言われたんだ」
「まじか」

「そういうわけで俺はまなの勉強を見ようと思う」なんて言われたから思わず、うへえってなった。(だって赤司、厳しいんだもん)

今はテスト期間で部活動はお休み。そういうわけで一緒に帰って、赤司は家に来た。テスト期間はこうやって二人で勉強するのが恒例となっている。(私たちのとても貴重な時間だよ!)

「この前まなは学年で32番だったね」
「…よくご存知で」
「当然だ」

うちの学校は成績上位者は全て張り出されることになっている。300人以上いる中で32位だからそこそこの成績のはずなんだけれど。

「数学100点、国語100点、英語が98点に理科が96点。ここまでは何の問題はない」

(何で知ってるの?!科目別の得点は張り出されてないのに!)

「なんと社会が2点だったね」

(本当に何で知ってるのーーー!イヤアアアこれは恥ずかしい!)

「この前の社会はほとんどが4択の選択問題だった。それさえも外すまなはチンパンジー以下だね」なんて爽やかに言われたから思わず教科書で顔を隠す。「そうだ、あれはチンパンジーでも25点はとれるようなテストだった。これは非常に恥ずべきことだ」「2点は学年最下位だ。つまりチンパンジーのみならず、青峰にさえも劣るということだ。これはもう死んだほうがいい」今さり気なく青峰馬鹿にしただろう。

そういえば赤司の担任は社会科だった。教科担当が赤司に頼むなんて、これはもう私が社会科の中で問題になっているということでいいですか。

「……だって興味が持てないんだもん。特に地理なんて。日本ならまだ分かるけどアメリカとかヨーロッパとかの地誌なんて心底どうでもいいんだよ」

そういう私に赤司は「そうだな。でもな、」と。

「俺は将来、いろんな国を旅したい。しかし北欧にアロハシャツで行くような馬鹿とは一緒に行きたくない。まながそんなやつだとは言わないが、それに近い状況だろう。ほら、とりあえず教科書開け」

(それはもしかして私と旅行に行きたいってこと?)

やった!これはがんばらなくちゃ!と思って赤司先生の講義を聴く体制に入ると赤司先生は愉快そうにククと笑った。

「じゃ、いいかな」

やっぱり赤司って私の扱いうまいなあ。なんて思ったテスト期間でした。
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