先生、やり過ぎです


放課後になった。俺は適当に反省文を書き上げ、村中に提出して昇降口に向かう。ちなみに今はテスト期間で部活がない。だからこのまま家に帰る。

そういえば、今日の授業が終わると栄坂はすぐさま村中に引っ張られていったが大丈夫だったのだろうか。



「…あ、青峰」
「あ?栄坂か。大丈夫だったか?」

下駄箱にて、ものすごく疲れたような顔をした栄坂と出会った。理由を聞くと、怒られはしなかったが変わりに村中の机掃除をさせられたらしい。村中は俺がいるとさらに汚くなると思って栄坂一人にやらせたのだろう。まあ概ね正しい。

我らが体育教師村中の机は汚いことで有名で、三年前の飲みかけのコーラとかが平気で出てくるような、それはもう四次元ポケットを超えてただの樹海のようである。そしてそれを罰と称して生徒に掃除させるようなやつが村中である。

「まだ怒鳴られたほうが良かったかなあ…」

相当なダメージだったらしい。

「…ところで」
「おう」

くりくりした目が合った。

「…青峰はオフィス机でゴキブリの飼育が可能だと思いますかな?」
「なんだよ突然」
「それが可能なんです!私も今日知りました!あ、あはは、あはははははは!!!」
「落ち着け!」

相当じゃない、かなりのクリティカルヒットだったようだ。村中のせいで栄坂が壊れた。トチ狂ったように笑う栄坂に俺はどん引きした。
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