(※喧嘩→仲直り出来ず→彼女一人で桐皇に進学の設定)
(※R15、無理矢理注意、苦手な方は電源ボタンプッシュ)
赤司が京都に進学すると同時に今まで見えなかった敵が一斉に私の周りに現れた。私はどうしたらこんなにも多くの敵を作れるのだろう、と皮肉にも自分を賞賛してしまうほどに誰も彼もが敵だった。普通に生きてきたのにどうして、と自分の中学時代を振り返っても何か悪い事をした覚えはない。ねえ、どんなやり方でバスケ部を引っ張ってきたのと今はいない恋人に問い掛ける。
逆恨み。私怨。責任転嫁。そんな言葉が脳内を駆け巡る。勿論周りに合わせて騒いでいるやつもいるだろうが、そんなことが関係あるとは言えそうになかった。卑劣な虐めが始まった。毎日が苦痛だった。虐めは日に日にエスカレートしていった。赤司がいるいないでこんなにも変わるものなのかと衝撃を受けた。青峰はそんな私を守ってくれた。赤司がいない寂しさ、そして非道い虐めに耐え切れたのは全て青峰のおかげだった。私は毎日青峰と一緒にいた。
青峰の強面もあってか二人でいれば非道い事をされる事はなかった。私は一人でいるところを狙われるようになった。
こんなにも私は人の怨みを買ってきたのか、と遠慮なしに痛みつけられ汚される身体とは別のところで一人茫然としていたような気がする。
目立たないようにしてきたはずなのにどうして、と。
薬によって強制的に感じさせるというのは、大きなダメージを私の精神に与えたようだった。嫌なのに刺激を求め、だらしなく喘いでいた気がする。イヤなのに、イヤだったのに、私を焦らすためだけの僅かな刺激を渇望し、彼らの欲望を満たしていた。彼らはそんな私を嘲笑った。プライドの崩壊、なんてそんな言葉じゃ言い表せない。さらに私の痴態をしっかりと収めていたあの無機質な道具、あのネガがある限り、私はこれから彼らの性奴隷として生きていくしかないんだろうなという結論に達するのは簡単過ぎた。
「…死んじゃお」
幸いなことにここは屋上なので。さらに丁度雨が降ってきたので。これで私や彼等の汚らしい体液は全て流し去ってくれるだろう。明日の新聞の見出しは、謎の自殺を遂げた高一女子、というところか。脱ぎ散らかされた制服を手に取る。雨の中、シャツを着込むというのはなかなか難しいなと思う。生地が張り付いて、なかなか腕が通らない。
真太郎、ごめん。あんたの言うとおり、最初から秀徳にしとけば良かった。
私が最後の時に思い出すのは、どうやら真太郎だったようだ。何ともまあ、最後になって真太郎を思い出すとは、私は気づかないところで随分とあいつを頼りにしてたんだなあ、と。「…ははは」違うだろ、私の馬鹿。
「………」
「………あ、」
「…赤司ぃ、」
助けて、赤司。と呟いたらもう止まらなくなってしまった。雨音が激しい上に、周りに人がいるはずもないので、別に何も遠慮することなどないのだが、私は誰かに聞かれてはいけないと小さく小さくその名を呼び続けていた。赤司、教えて。今、私は死のうとしてるけど、それは正しいことかな。わかんないよ、馬鹿だから。
「赤司、赤司、赤司…」
生きてても良いことなんてない。
「赤司…、」
出来ることなら戻りたい、中学生の頃に。
「……ははは、」
少しでもボーっとすると、嫌なことを思い出す。私はだらしなく股を開いた。彼らの要求に応えた。私は汚された。
「ははは、」
死のう。死んじゃおう。この先今まで通りに生きていくには辛過ぎるほどの付加を負った。もう無理。お兄ちゃん、今、行くね。