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前半

画館で映画を見るんなんて何年振りだろう。最近はタンマツ配信で映画を見ることが多く、映画館なんて御無沙汰だった。けれど先日、上司の宗像に映画のチケットを貰った伏見は非番の日を狙って映画館に足を運んでいた。

「あの人のクジ運どうなってんだよ」

伏見の所属するセプター4は特殊部隊なので、特異現象が起らない時は何も仕事がない。よってそれぞれが自由な時間を過ごすことが出来るのだ。室長はクロスワードパズルを解いて懸賞品を頂き、副長の淡島は経費で買ったダンベルを持ち上げ書類片手に筋トレをしている。また伏見も得意のハッキングで、ネットを通じて異常がないかを見張っていた。

今回伏見が譲って貰った映画のチケットは、室長である宗像がクロスワードの懸賞品として手に入れたものだ。気が付けば室長の周りにはそれらしいもので埋め尽くされている。仮にそれら全てが、クロスワードパズルを解いて得たものならば、宗像のくじ運は強運としか言いようがない。

チケットを無駄にしたことがバレて後で室長の反感を買うのもアレなので、現在上映されている映画の中で一番興味のあった作品を見ているのだが……期待はずれも良いところだった。

「チッ……」

周りの人間はキャーキャー悲鳴を上げながら映画を見ているのだが、伏見にはどうしてこんな映画に恐怖心を抱いて悲鳴を上げている人の気持ちが理解出来なかった。
最初から期待していなかったので、一番後ろの席の端を指定していた。見たことには変わりはないし、帰るかと立ちあがった時。

「ん?」

映画館の隅に見覚えのある人物がいることに気付く。暗闇だが、伏見は自分が奴を見間違える訳がないと自負している。
子供が新しい玩具を見つけたような笑顔を
浮かべながら、伏見は気配を消しながらその人物の背後に回り込む。

「怖いのか?」

そう耳元で囁くと予想通りの反応が返ってくる。

「――っ!?てめっ……」
「しーーーーーっ」

八田の口元を手で覆い、声を制するように促す。

「美咲ー?此処は映画館だぞ、映画館では静かにしろって学校で習っただろ」
「何が習っただっ……んっ!」

首筋を舌で舐められ、八田は思わず声を上げる。伏見の行動はそれだけに止まらず、次第には服の中に手を忍ばせ直接肌に触れ始めた。

「ちょっ、猿比古っ……!!」
「声抑えないと周りに気付かれるぞ」
「くっ……」

ギュッと唇を固く結び、八田は必死の思いで声を出すまいと堪える。胸の突起に指が触れた瞬間、八田の体が大きく跳ね上がった。

「いっ……!?」
「本当相変わらず感じやすい体だな、美咲」

伏見の指によって八田の乳首は硬く尖り始めていく。それは服の上からも乳首が尖っているのが確認できるほどまでになっていた。

「凄くコリコリしてきた……気持ちいいだろ、美咲?」

八田は首を左右に振り、その問いに態度で答える。しかし体は正直で、下半身が疼き始めているのを八田自身が一番理解したいた。

「体は素直なのにな、正直に言えよ。俺のが欲しいって。中を滅茶苦茶に掻きまわして欲しいってさぁ?」

此処が映画館ではなければ八田も理性を捨て正直になれたのだろうが、場所が場所なだけにその言葉を発するのを踏みとどまっていた。





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