そんな事して楽しいの、と私が聞くと、総悟は静かに頷いた。ふうん、楽しいんだ。手に持っているカップアイスを、ぼたぼた地面に零すのが。するといきなり手にアイスを握らされた。「あんたもやりなせぇ」なんで?「俺だけがやってると、まるで自分が変人みたいに思えてくるんでェ」だから私にもやれって言うのか。総悟の持っているアイスのカップから、また一滴ぽとりと、溶けだしたいろんなものが滴った。卵とか、香料とか、牛乳やら。その滴ったものが、足元の雪にジュワッとにじんだ。その時同時に、総悟のまつげがふるふる震えた。




12月51日、屯所は雪に包まれる。


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