カイザー#デュエル馬鹿娘 | ナノ
立場を弁えろ、そんな内容の罵倒が私めがけて飛んでくる。だけどそんなのも気にならないくらい私の胸は高鳴っていて、興奮で身体が湧き上がるかのように熱かった。対峙するは、白い制服に身を包んだ、この学園では誰もが名前と実力を知っている丸藤亮。私は彼に向かってデュエルディスクを構えていた。そう、戦いを挑んでいたのだ。理由なんてものは言うまでもない、彼が私をワクワクさせてくれる相手だからだ。今のあなたまるで野獣よ、と明日香が私の隣で呆れたように呟いた。獲物を前にした獣、確かに今の私にピッタリな言葉だ。女子に使うべき言葉ではないと思うけれど。


「帝王に挑もうなんて百年早いんだよ。出直してこい」


丸藤亮の両脇を固める親衛隊か取り巻きかなんかが私に向かって吐き捨てた。違うわ、私は帝王に挑もうとしているのではないのだ。こいつらはなにもわかっちゃいない。私は身動きもせずじっとこちらを伺う彼に向かって、好戦的な言葉を吐き出した。


「私は貴方と戦いたいの!誇り高き帝王としてじゃなく、ただのひとりの人、『丸藤亮』として、あなたと!」


私の言葉を聞いて、彼の眉がぴくりと動いた。予想外の言葉だったからか、少しだけ驚いた顔をしている。どうやら私に興味を持ってもらえたようだ。真っ直ぐ突き刺さるような彼の視線が私の心拍数を余計に加速させていく。たまらないこの威圧感。追い立てられるこの感じが、私の高揚感を高めてくれる。それからゆっくりと彼の唇が動いた。


「それは、どういう意味だ」


低い彼の声が鼓膜を揺らす。面白いものを見つけた、そんな顔をした彼は私に向き直り、デュエルディスクを構えるポーズをする。どうやら私の果たし状は受け取ってもらえたようである。


「だってデュエルには関係ないでしょう?性別も、立場も、年齢も、肩書きなんかも。ただ、目の前のその人自身とぶつかり合う、それだけ。だからこそワクワクするし、楽しいんじゃない!」


ニヤリと彼の唇は弧を描いた。いいだろう、この丸藤亮がお相手しよう、彼はそう言ってデュエルディスク起動させる。私もそれに続いて起動させた。胸の奥底からドキドキとワクワクが込み上げてくる。この感じがたまんない。

さあ、楽しいデュエルのはじまりだ。

20160514
十代のテーマが流れてきそうな話
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