遊星#傷つく遊星 | ナノ
ただただ笑ってる君が好きだった。君が笑うだけで周りは花が咲いたように明るい空気に包まれて、俺の頬もつられて綻んだ。いつもの真ん丸いブラウンの瞳が細められたとこが、白い柔らかな頬に描かれるえくぼが、淡いピンク色した桜の蕾みたいに可愛らしい口から溢れる笑い声が、ぜんぶぜんぶ大好きだった。ただそれが俺一人に向けられていた訳じゃないのなんて当に頭ではわかってたはずなのに、俺は。悔しいほど苦しいほど駆け抜けていくこの感情に止める術なんてものは思い付くわけもなく、思い付いていたとしても押さえつけるなんて当に無理な話であって。苦しみで歪めた表情で告げた愛しさの言葉はただ君を傷つけた結果しか残さなかった。


愛してると言うのに、


俺を見上げる彼女の瞳からは涙が次々とこぼれ落ちていき、俺は彼女にこんな顔をさせたい訳じゃなかったのに。遊星が苦しめられるなら私はあなたのそばにはいられないよ、と弱々しく彼女の口から出たのはお断りの返事だった。ああ、心臓を抉り出してしまいたいくらい苦しいいっそのこと抉りだしてやろうか。バカみたいだただ君の笑顔が見たいだけなのに苦しませて、だれかこんな俺を殺してくれ。

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