ヨハン#陽気なフリル | ナノ
私の彼はフリルだ。フリル。何故フリルっていうのかというと皆さんご存知の通り、彼の袖口にはフリルが住み着いているからなのである。男のくせにフリルとかどうなのよなんて最初は思っていたが、結局は彼に惚れてしまったので今ではそんなことは口が裂けても言えないことなのだ。袖口にフリルがあるということは、よほどのフリル好きなのかと付き合った当時はよく考えさせられたもので、ちょっとした実験をした記憶がある。彼のその制服のフリルを引きちぎっちゃったら彼は一体どういう反応をするかというものだ。結果は…思い出すだけで恐怖が込み上げるくらいヨハンに怒られたことしか記憶が無いとでも言っておこうか。ヨハンはもはやフリル中毒だよね。本当にあの時は死ぬんじゃないかってくらいだった、と引いたドローパンの中から伊勢海老を引き抜いて、そこにフリルを突っ込んだ私特製のドローパンをヨハンに食べさせたことについてお叱りを受けている最中に考えていた。やっぱり共食いはできないもんね、と呟いたらフリルは食いもんじゃねーから!とヨハンは眉を吊り上げてその特製ドローパンを私に投げつけた。ぐへ!、とそのパンは私の腹部に直撃して、ちょっとだけ伊勢海老が喉元からこんにちはした気がした。あぶないあぶない。貴重な伊勢海老が飛び出すところだった。


「だってヨハンフリルがすきなんでしょ。だからプレゼントしたのに」
「お前これどう見たって彼氏に対するプレゼントじゃねーだろ」
「ヨハンに対するプレゼントだよ。フリル引きちぎったことでど叱られたこと根に持ってるわけじゃないからね。ヨハンがフリルを好きだからあげたプレゼントなんだよ!」
「根に持ってるのかよ!」


あれはフリルを引きちぎったお前が悪い、あのフリルを縫うためにどれだけの労力が必要かわかってんのか?いや、しらねーし。てかお前が縫ってたんかい、というツッコミは未だ喉元に滞在していた伊勢海老と一緒に飲み込んだ。


「そんなにフリルが好きならフリルと付き合えばいいじゃない!」
「俺は、フリルも好きだが、それ以上にお前が好きだ」


いきなりそんなことを言われて、私の胸はドキリと胸が跳ねた。ふ、フリルのくせに!フリルのためにアレだけ怒るのに!とかなんとか一瞬考えたけれど、こんなカッコいいヨハンの真剣顔に勝るものはなくて、フリルを引きちぎって怒られたことの仕返しにフリルパンをお見舞いした自分が恥ずかしく思えてきた。ごめんね、ヨハン。もうフリル引きちぎったりしないよ。


「だからさ、フリルとお前が一緒になればもっといいと思うんだ!」


さっきの台詞に感動していた私だったが、どうやら台詞には続きがあったらしい。その台詞を聞いた私は意味がわからなかった。フリルと私が一緒になれば?いやいや、わけわかんないし。とか考えていたらなにやらヨハンは制服のポケットをあさりだし、何かを取り出した。さあ、これを穿いてみてくれ、といったヨハンが大事そうに両手で差し出してきたのは紛れも無い、フリルがエロティックに取り付けられたパンツだった。え、私とフリルが一緒になるってこういうことなわけ?てか、なんでそんなのポケットに入れてるわけ?一瞬唖然とし、その後流石に我慢できなくなった私はヨハンの脳天に一発踵落としをお見舞いして、気絶した彼の頭からそのフリフリパンツを被せてその場を立ち去った。早く誰かに見てもらえるといいね、その自慢のパンツ。

最低ラブストーリー
(数時間後に気絶したヨハンを見つけた十代の笑い声が響き渡った)
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