遊星#正に大団円 | ナノ
遊星を見返してやりたかった。「お前はいつも遅刻するな」とデートの途中で口にした遊星に対し、私はそれに向かってキレた。いや、そりゃ遅刻する方が悪いけどさ、こっちにはいろんな理由が在るんだもの!と叫んだら遊星はじゃあ言ってみろよ、なんて言って来るから言い返してみようとしたら、考えてみればそう何か理由があって遅刻したわけではないということに気が付いた。私が何も言い返せないことをいいことに遊星は「考えてみればデートのたびに遅刻している。待たされるこちらの気持ちにもなってくれ」なんて言ってきた。いいじゃない、今日はどんなこと話そうとか考える時間がたくさんあるんだから。いいじゃない、いっぱいコーヒーのお代わりできるんだもの。ということが昨日あったから私は遊星を見返そうと早起きをして支度していた。時計を見れば約束の時間に対して15分の余裕。場所はここから5分もかからない場所だから全く持って楽勝だ。はっはっは、ざまーみろ遊星!と意気込んで喫茶店に入ったらそこには足を組んで優雅にコーヒーを口にする遊星。あれ、なんで遊星がいるんだと思ったら遊星は「また遅刻だな」とこちらに視線を移した。んなバカな。私は十五分前に家を出たはずだ、といったら遊星は店の時計を指差し私はそれに倣うと約束の時間を十五分もオーバーしていた。うそだ。もしかして私の家の時計、壊れてるっていうか遅れてる?その後遊星と私は私の家に行き、掛け時計と睨めっこしていた。


「お前が遅刻するのはこんな理由があったのか」
「私もびっくりだよ。何があって時計が30分も遅れるんだ」
「逆算すると、いままでお前はきちんと時間を守ってるはずだったんだな。…悪かった」
「いや、時計が壊れてるのに気付かなくて、いっつも待たせててゴメン」


というか元から待ち合わせとかせずに遊星がDホイールで迎えに来てくれればいいんじゃね、と言ったら遊星は微笑んで、それよりも一緒に住んだほうがいいんじゃないか、と言った。久しぶりに見た気がする遊星の笑顔に、思わず彼の胸に飛びついた。
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