エド#天邪鬼な二人 | ナノ
あたしは本当によく出来た人間だと思ってる。プロになった俺様な(あれ、僕様?)幼馴染の言うことを出来るだけ聞いて、それでもって文句も言わず宿題とかやってあげてんだからね。少しは敬って欲しいものなのに、あいつときたらアカデミアに帰って来る度に人使いが荒くなってる気がする。いや、気がするのではなく、絶対になってる。だって時間も場所も選ばず呼び出してくるんだから、大して用事はないくせに。十代先輩には、エドの召使でもやってんのか?と本気で聞かれたりもした。これじゃああたしはみんなからどういう風に見られているのか聞けたもんじゃないわ。ああ、ほらまた呼び出しが来た。なんであいつは何にもわかってくれないの!



はよく出来た人間だと思ってる。プロを身近に感じさせてやろうと、文句も言わずプロ志望の幼馴染を傍においてやっているのだからな。それなのにそいつときたら、呼び出すたびに嫌そうな顔をしてくる。少しくらいは感謝した方がいいというのに、感謝の「か」の字も表すことすらしないのだ。それにそばに置いてやってるだけではない、僕直々にデュエルをしてやってるというのに、あいつの口から出てくるのは「十代先輩のほうが」、とか、なんでとヤツを比べようとするんだ。ああ、スーツの裾が解れた。あいつを呼び出すとしよう。あいつはなんにもわかっちゃいない!


「なんか用?」
「あるから呼び出したんだが」


直せ、と言いながら片足を差し出してくるエドはとてつもなく嫌い。

ため息をつきながら、解れを直すコイツは嫌いだ。


「できたよ」
「ああ」


だけど、あたしが何かしてあげたら少しはにかんでお礼を言ってくる彼は大好きだ。用がなくても彼の呼び出しに従うのは、あなたに会いたいからだというのに、彼は何一つわかっちゃいない。彼のことを好きじゃなかったらこんなにも尽くすわけないのに!

だけど、用が終わった後にに必ず、なにかあったらまた言って、と言い残して去っていく彼女は大好きだ。用がなくても彼女を呼び出したりするのは、彼女に会いたいからだというのに、彼女は何一つわかっちゃいない。彼女のことを好きじゃなかったらこんなにも執着しないというのに!


「早く気づけ、バーカ」


一枚ドアの向こうで、彼女がそう言ったのはあたしは知らない。
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