十代#比較的純粋十代 | ナノ
「す、好きなんだ」という言葉に、あたしは「はあ」という言葉で返事をした。それは決して肯定の返事ではなく、疑問の返事でしかなかったもののはずだ。なのに、告白をしてきた張本人の十代は、どうも勘違いをしているらしくて「イヤッホー!」とか言いながら飛びついてくるではないか。いやいやいや、ちょっと待ってよ。


「十代、これはなんかの罰ゲームでしょ」
「はあ?何言ってんだよ」
「いや、だって十代があたしのこと好きとか、ありえないって」


じゃあ今から証明してやるよ、と言いながら授業中である(あ、あたしたちはサボりね)教室に向かって息を吸い込んだ十代に嫌な予感がしたので必死に止めた。叫ぶつもりだったでしょ、と聞けばほかに何をすりゃあいいんだよ、といわんばかりの顔で十代は振り返ってきた。本気なのはわかったよ、と言って乾燥して割れかけたクチビルにリップを塗った。それを見て十代は何かを思いついたのか、唇に塗りかけのリップを握ったあたしの手をぐい、とひっぱり自分のそれを重ねてきた。


「こういう証明のしかたもあるよな!」
「コラ、あたしの気持ちは無視か」
「わ、悪い。でも俺の気持ちは本物だ、さあ付き合ってくれ!」


元気よく手をあたしに差し出す十代は、告白のときの戸惑いの欠片さえも感じさせない。コイツがこういうやつだって知っていたし、こいつのそういうとこに惚れてるのもあたしだし、というわけで返事の代わりに、今度はあたしのほうからキスしてみた。
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