少年の思い出 | ナノ
私の好きな人


クラスメイトの十代くんは、他の男の子たちとは違っていた。どこが違っているかというと、同い年のはずなのに彼はどこか大人びていたのだ。見た目は少年という言葉がぴったりな外見をしているのに、振る舞い方や言葉の言い回し、目配せとかがどこか大人だったのだ。だからこそ、皆が皆、そんな彼を一目置いていた。彼は人気者、一言で彼を表すならばその言葉がぴったりであった。

そんな人気者に、私は想いを寄せていた。好きになったきっかけとかは特にはない。気がつけば十代くんのことが好きだった。他の男の子たちと違ったから、視線が彼に無意識に向いていたのかもしれない。見つめているうちに彼のことが好きになったのかもしれない。考えれば考えるほどなぜ好きになったのかはわからない、けれども誰かが言っていた気がする。恋は意識して落ちるものではない、と。きっと無意識のうちに私はいつの間にか十代くんに恋に落ちていたのだろう。

大嫌いな数学が一限にあって憂鬱な気分で教室のドアをあける。私のクラスはいつだって賑わっていて、その中心にいたのはいつだって十代くんだった。今日も今日とてそれは変わらず、人だかりの真ん中には白い歯をニカリと出して笑っている十代くんが。それから彼は教室に足を踏み入れた私に向かっておはようと言う。私はそれだけで憂鬱な気分が吹き飛んでしまうのだ。

20170301
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