新しく買った可愛い服。私はそれを着て彼と…人識と会った。
 
最近は忙しくないらしく、デートする頻度が高くなって私的にはうれしいんだけど、彼はこの格好を見て
 
可愛いね
 
と、言ってくれる筈もなく…ぶっちゃけ悲しい。
 
デートは毎回こんな感じでのっけからしょげる。私が着ると可愛い服も平凡な服になるのかな?
 
まぁ、彼は彼で奇抜なファッションセンスなので感覚が違うのが問題なのかもしれないけど…
 
歩きながらそんなこと思ってたら後ろから頭をこづかれる。
 
「なーに、考え事しながら歩いてんだよ。電柱にぶつかっても知らねーぞ?」
 
ぶつからないもん、と返し人識をほっとき前に進もうとしたら後ろから人識の声。
振り向くと「ちょっと話そうぜ?」と公園を指していた。
 
****
 
ベンチに座るといきなり人識は話しはじめた。
 
「お前なんかあったのか?」
「…なんもないよ」
「嘘つけ。なんもねーわけねーだろ。」
「嘘じゃないよ。何もなさすぎるんだよ」
「んだそりゃ?…平凡すぎてつまらねーってか?」
「ちょっとちがう。…人識はさ」
「ん?」
「私の…その…服装とか見てどう思う?」
「は?服?どう思うかって聞かれりゃ…まぁ、ずいぶんと際どい服だなぁと思うけど」
「スカートの丈の話じゃないよ」
「じゃあ、あれだ。まぁ、いいんじゃね?って感じだ」
「やっぱ人識にとって服なんて、その程度の認識でしか無いわけだよね…」
「まぁな。」
「いくら私が着飾ろうと人識には関係ないんだよね」
「だろうな」
 
少し、泣きそうになった。
 
質問してるのは私。
どんな答えが返ってくるか、予想はついていた。
でも、いざ本人に言われると涙が出そう。
 
手をぎゅっと握り、涙を我慢する。
 
すると人識が私の左手を右手で掴み、握り締めた。
 
「お前さ、勘違いしてるだろうから言っとくけどさ」
「……」
「服なんてなくてもお前は十分可愛いんだぜ?」
「なんか変態みたいな言い方だね」
「かははっ、それをいうなよ。」
「でもさ、私は頑張ってるわけだよ。その…人識に可愛いって言ってもらえるように」
「そうなのか?でもさ、お前を可愛いなって思うたびに"可愛い"って言ったら、それこそ大変だぜ?」
「なんで?」
「デート中の会話が全部、"可愛い"になっちまう。」
「へ?」
「お前は分からないだろうけど、…こんなこというのはじめてだけど…お前がする行動・仕草・言動、全部可愛いんだぜ?」
「いや、え、あ、そ…れは無いって」
「いーや。現に今も、梓捺が"可愛い"って言われたくて悩んでるってこと聞いて"可愛いな"って思ったぜ?」
「!!」
 
改めて言われると、照れる。
 
「だからさ、俺だって結構我慢してるんだぜ?」
「いいよ我慢しなくて…私は言ってほしいもん」
「ほら、可愛い」
「!」
「顔・赤ぇぞ?可愛いな、」
「ちょ、人識っ!」
「あわてんなって、お前が可愛いくてどーしようか悩んでるんだから」
「も、言わなくていいよ!は、恥ずかしい」
「いまさらおせぇよ。よし!帰っていちゃいちゃするか!」
「お、大きな声で言わないでよ!ばかっ」
 
好き、すき、スキ
(いくらでも言ってやる)
 
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微笑ましい。てか、久しぶりに人識書いたから
キャラ崩壊してる気が…
 
人識好きだぁ…何だかんだで妹の世話してるとことか、いーちゃんのピンチには大概助けに来るとことかね(笑)
 
遊詩