「すみませんすみません本当にすみません許してください折原さん」

只今池袋西口公園にて折原さんと命懸けの鬼ごっこ中。

これには色々と訳があるのだ。
折原さんが偶々「一緒に池袋に行こう」とか言い出すから私は本気で困っていた。
何せ、平和島さんと会う予定を組んでいたのだから。
この前に借りた羽島幽平さんが出演しているDVDを借りていたから返そうと思っただけなのに。


なら折原さんとの約束は断ればいいだろうと思う人もいるかもしれない。
私だって約束を断った。
が、理由を聞かれ「体調が悪くて…」と咄嗟に口から出てきた言葉がそれだった。

「ねぇ、何であそこにシズちゃんがいたわけ?お、待ってたぜとかシズちゃん言ってたけどどういうわけ?」

「いえ違うんです。ただ借りてたDVDを返そうと思ったんですだから許してください!!」

早歩きで公園内をぐるぐる回る大の大人二人組。

もう疲れてきた…
折原さんまだ体力残ってるみたいだし、これはマズイ…

実は二十分程前に平和島さんと会うことができた。しっかりDVDも返すことができた。
私が待ち合わせ場所に来たことに気付いた平和島さんは、「お、待ってたぜ」と軽く手を挙げて笑顔で言ってくれたのだが、私の近くに折原さんがいたことに気付き、一気に笑みが消え失せた。

それから折原さんとの死闘が始まり、何とか平和島さんを撒くことができた折原さんと、今こうして鬼ごっこをしている。
案の定、怒りの矛先は私に向いた。

「別に平和島さんと折原さんを会わせようとかそんなことは考えてなかったんです!本当です!!」

「そうなら俺はもっと怒ってたよ」

「…え、」

未だに私の後ろを追い掛けてくる折原さんに素朴な疑問を投げ掛けた。

「あの、折原さんはそれで怒ってるんじゃないんですか?」

「君がそんなつもりでやったわけじゃないなんて分かってるよ。俺が怒ってるのはそんな理由じゃない」

「じゃああの、何でしょうか……」

「何でシズちゃんなんかと会う約束してんのかって言ってるんだよ」

ピタッ。
思わず足を止めてしまった。

「それってヤキモチ…ですか?」

「は?俺が君に?そんなわけないじゃん」

あぁ、折原さんも素直じゃないなあ…

「まあでも、君が俺と一緒にいるだけで幸せだって言ってくれたら認めてあげてもいいよ」

嫌ですよ。
誰がそんな恥ずかしいこと言いますか。



(公衆の面前より愛を込めて)





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