∵ それでも 野 菜 ぎ ら い な眉目秀麗(21)

「…俺、君に何か悪いことしたかな?」
「いえ、全然」
「じゃあさ、これさ、おかしいよねぇ?」
「あっ、でも強いて言うなら私が買ってきたアイスを全部食べちゃったこととか。ちゃんと名前書いてたのに」
「…そんなに気にしてる?だったら買ってくるからさぁ…」
「そう言えば私の服汚したこととか」
「あれは悪かったほんとうにごめんなさい」
「っていうのは冗談です。あんまり気にしてませんよ?」
「なんだ」
「なんだとはなんだ。っていうか結局臨也さんは何が言いたいんですか?」
「俺は人参がきらい」
「…あぁ、そういう用件…」
「玉ねぎもきらい」
「…………」
「じゃがいもは好き。ナスは普通。でもトマトはきらい」
「…………」
「…………」
「…夏野菜カレーにして見ました」
「何を今さら…見ればわかる」
「どうぞおいしく召し上がってください」
「嫌いなものだらけなんだけど」
「好き嫌い言わないで食べてください。もう25才の大の大人が好ききら「俺は永遠に21才だから。ここ重要」
「21でも25でもどちらにしろ好き嫌いはよくないです」
「……はっ、俺が野菜食べられないわけないじゃん」
「ですよねー。ほんと臨也さんカッコいい」
「…………」
「すみません、一つ一つ野菜を私のお皿に載せていこうっていう努力というか…そう言うチマチマした作業をやるっていう臨也さんの試みにちょっと涙出そうなんですけど…二つの意味で」
「二つ?」
「ひとつは臨也さん嫌いな野菜のために頑張ってるなぁと。もうひとつは…」
「もうひとつは?」
「それでもやっぱり食べてくれないんだなぁ…って。せっかく作ったのに…」
「…………」
「…………」
「(っ…!そんな顔されたら食べざるをえないじゃん…)」
「(あっ、食べてくれた。この方法臨也さんが相手でも使えるんだ)」
「これからは配慮してよ」
「臨也さんのきらいな野菜はすりつぶして入れることにします」
「カレーに?」
「カレーだけじゃありませんよ?ハンバーグとかケーキとか唐揚げとかスープとか…」
「バカなの?」
「え、でもこれ結構野菜嫌いを克服するのにいいと思いますよ。幼稚園に通ってたときはお母さんがよくそうしてくれました」
「…幼稚園……」



(俺の方が年上なのに、彼女の方が大人だった)





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